インドとカザフ 二国間原子力協力協定に調印

インドとカザフスタンは16日、民生用原子力貿易の枠組み協定となる原子力平和利用分野の二国間協力協定に調印した。

インドで急激に増大する原子力発電所に対し、ウラン生産量で世界第1位を誇るカザフからウランが提供される一方、インドからはカザフが検討している原子力の再導入計画で原子炉建設も含めた様々な側面で支援を提供することになる。

原子力分野における両国間の戦略的パートナーシップは、2009年にカザフのN.ナザルバエフ大統領が訪印した際、インド原子力発電公社(NPCIL)とカザフの国営原子力企業・カザトムプロムの間で調印された協力覚書(MOU)に基づいている。燃料供給や原子炉の建設・運転、ウランの共同探査と採掘、原子炉の安全性や放射線技術など研究開発情報の交換等がカバーされるとみられている。

今回の協定はインドのM.シン首相のカザフ公式訪問に合わせて調印された。インド外務省によると、ナザルバエフ大統領は会談後、2030年までに2100トンのウランをインドに供給すると発言。こうした原子力貿易もアンブレラ協定である原子力協定の下で全面的に可能になる見通しだ。

一方、記者会見でカザフへの原子炉輸出の可能性を問われたシン首相は、「我々には天然ウランを燃料とする小型炉の供給能力があり、この件について協議もしたが、具体的な決定はまだない」と答えるに留まった。

同首相はこのほか、福島原発事故を経てなおも原子力開発を推進していく理由について、「利用の拡大に対しては確かにある程度の懸念はある」ことを認めた。その上で、「冷静な頭で将来のエネルギー事情を議論し、石炭や炭素の問題を地球温暖化への影響という部分で考えてみれば、原子力はすべての国が維持しなくてはならない重要なオプションの1つとして、その役割を再検討されるだろう」と断言した。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで