【原子力ワンポイント】 日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(4)〉 校庭や公園で遊ぶ子どもたちへの影響

福島第一発電所の事故による子どもたちへの放射線の影響が話題になっています。学校などで行われている放射線対策についてカワさんが紹介します。

ゲンくん 子どものいる家庭では環境放射能の影響を気にしているね。

カワさん 文部科学省は19日、福島県教育委員会等に対し、県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方を発表しました。

国際放射線防護委員会(ICRP)の指標を参考に検討を行い、1年間で20ミリSv以上の放射線を浴びるべきではないとしています。さらに子どもが1日8時間を屋外で過ごすという前提で計算し、1時間当たり3.8マイクロSvを安全上問題がないとされる屋外での放射線量の目安としました。この目安を上回る放射線が検出された場合は、校庭や屋外での活動を制限します。放射線量の測定は夏休みが終わるまで毎週行い、同じ週で2回続けて目安を下回れば、制限は解除されます。

休校中である計画的避難区域や緊急時避難準備区域の学校を除き、福島市、郡山市、伊達市にある計13の保育園、幼稚園、小中学校がこの基準を超えており、校庭などの利用制限の対象となりました。このうち4校は、22日の再調査で制限を解除されています。

郡山市の一部の学校などで、校庭の表面の土を取り除くことにしましたが、除去した土の処分や作業員の安全など懸念する声もあります。

ゲンくん 子どもたちはやっぱり外で遊びたいと思うな。

カワさん 13の公園についても22日、環境放射線モニタリング調査を行いました。その結果、5つの施設が1時間当たり3.8マイクロSvの暫定基準値を上回り、利用制限の対象になりました。当該公園の利用については、1日あたり1時間程度としています。また、再調査は概ね1週間以内に行われます。

ゲンくん 校庭や公園で遊ぶときには、どんなことに気をつけたらいいのかな。

カワさん 基本的な考え方としては、余分な放射線は浴びないことが大事とされています。不安な場合には、帽子や長袖の着用など肌の露出を減らすとよいでしょう。遊んだ後には手や顔を洗い、うがいをすることも大切です。靴の泥もよく落としましょう。また、砂場の利用は控え、土や砂が口に入らないようにしてください。もしも口に入ってしまったら、よくうがいをしてください。マスクは直接放射能を防ぐことにはなりませんが、舞い上がったほこりの吸入防止には効果があります。道路などの水たまりなどに触れることは避けましょう。雨に当たらないことも大切ですが、濡れたら拭き取れば大丈夫です。ただし、現在の放射線量では必要以上の心配はいりません。

ゲンくん 避難してきた子どもたちが「放射線がうつる」などと間違ったことを言われているのはかわいそう。先生や保護者も正しい理解が大切だね。

カワさん 心配しすぎることがストレスとなって心身の不調を起こす場合もあります。文部科学省などでも、わかりやすい資料を用意していますので、不安解消に役立ててください。

(原産協会・情報・コミュニケーション部)


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