米NRG社 STP増設計画で 投資打ち切りを決定

米国でサウステキサス・プロジェクト(STP)原子力発電所(=写真)3、4号機の増設計画を進めていたNRG社は19日、同計画への今後の投資を打ち切ると発表した。

福島第一原発事故により、東京電力が約束していた出資参加が期待できなくなったほか、規制当局による安全基準見直しの動きなどが原因と見られている。

同計画では2009年2月に、東芝がEPC(設計・調達・建設)契約を受注、日本企業として初めて海外から請け負った新設計画となるはずだった。今後はプロジェクト企業に一部出資している同社が建設・運転一括認可(COL)取得のための経費を継続負担するが、計画再生の見通しは立っていない。

NRG社は投資打ち切りの理由を次のように説明している。すなわち、「福島原発事故により米国での新設計画には様々な不確定要素が生み出され、STP3、4号機が日程通りに完成する確率は劇的に損なわれた。NRG社はまだ、米国における原子力ルネッサンスの必要性、その中でSTP計画が最良の新設計画であることを信じている。しかし、原子力発電開発が現在直面する大きな課題、当社がこの5年間に投入した莫大な資金を考えると、株主達にこれ以上の投資を正当化することは不可能だ」。

135万kWのABWR2基を建設する同計画では、当初、NRG社と東芝が88対12の比率で出資するNINA社、およびテキサス州の公営電気事業者のCPSエネルギー社が折半で進めていた。が、建設見積費の高騰によりCPS社は昨年2月に出資比率を7.625%に縮小。同年5月には東電が、米政府による融資保証適用を条件にNINA社傘下のプロジェクト企業に10%の出資を約束した。

しかし、これまでに融資保証適用の言質は得られず、福島事故後は米原子力規制委員会が同事故の教訓を規制要求項目に盛り込む可能性が出てきた。このためNRG社は3月21日、そうした不確定要素が払拭されるまで計画の減速を決定。それを期にCPS社も、同計画からの電力購入協定に関するNRG社との協議を停止していた。


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