浜岡発電所 全号機停止へ 中部電力 政府の要請を受け入れ 想定・東海地震に備え 地震・津波対策に万全期す

中部電力は9日の臨時取締役会で、菅直人首相から海江田万里経産相を通じて要請された浜岡原子力発電所の全機運転停止を受け入れることを決めた。今夏の電力需給状況は厳しいものになるものの、早急に防波壁の設置など津波対策の強化策を実施し、「中部地域への電力の安定供給のために早期の運転再開をめざす」としている。

菅首相は6日、記者会見を開き、「浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請した」とし、その理由として、文部科学省の地震調査研究推進本部の評価で、「これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫している」と説明した。

首相は他の原子力発電所との立地の違いを強調し、「浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要だ」と述べた。さらに首相は「国民の安全と安心を守るためには、こうした中長期対策が完成するまでの間、現在、定期検査中で停止中の3号機のみならず、運転中のもの(4号、5号機)も含めて、すべての原子炉の運転を停止すべきと私は判断した」と説明した。

浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)は中部電力の唯一の原子力発電所サイトで、1、2号機はすでに廃止措置が取られており、3〜5号機の合計出力は361万7000kW。想定東海地震の想定震源域の中心部に位置しているため、3〜5号機ではさまざまな耐震裕度向上工事を行ってきている。

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中部電力の水野明久社長は8日、海江田経産相に対して、公益性の高い事業を営む同社にとって、「総理大臣からの今回の要請は事実上国の指示・命令と同義であり、極めて重く受け止めている」としたうえで、政府の要請を受け入れるに当って、同原子力発電所の運転再開の条件や国からの支援策、地元首長をはじめ立地地域への十分な説明、地域経済への配慮など5項目について確認した。


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