東電 1号機「炉心溶融」と評価 地震翌朝には大部分が落下 現在は「安定的に冷却」

東京電力は15日、現在、震災後の事態収束が進められている福島第一原子力発電所のうち、1号機(電気出力46万kW)の炉心状態について、「津波到達後、比較的早い段階において燃料ペレットの大半が溶融し、圧力容器底部に落下した」との暫定評価結果を発表した。一方で同機燃料は現在、淡水注入により安定的に冷却されていることから、「今後、大規模な放射性物質の放出につながるような事象の進展はない」との見方も示している。

同社では、福島の事態収束と合わせ、地震発生後の対応履歴やプラントデータの整理を行っているが、現時点で得られている記録データにより、炉心状態の解析を実施してきた。これらによると、1号機原子炉圧力容器周りの温度は、複数の測定値で概ね類似の傾向にあり、それらに基づく推定によると、発熱体(燃料)の大半は、原子炉圧力容器の下部(=左図の炉心支持板より下)で水没しており、一部は露出しているとの見方が示されている。また、原子炉圧力容器の温度は、100〜120℃付近で推移し、注水が継続されながら、水位の有意な上昇が確認されていないことなどから、冷却水の漏えいはあるが、下部に大規模な破損はないものとしている。

1号機炉心状態の解析では、3月11日午後2時46分の大地震発生から約45分後の津波到来以降、非常用復水系の機能が喪失したものと仮定すると、原子炉水位は急激に低下し自動停止3時間後(18時頃)には有効燃料頂部に到達し、同4時間半後の午後7時半頃には有効燃料底部に低下したとしている。この間、炉心の温度は二酸化ウラン燃料の融点約2800℃にまで急上昇、炉心中央部から溶融が始まり、原子炉停止から16時間後(翌朝7時前)には、大部分の燃料が原子炉圧力容器底部に落下したものと分析している。

震災直後の3月15日に、東京電力は希ガス、ヨウ素から放出されるガンマ線の観測から、福島第一の炉心損傷割合の目安として、1号機約70%、2号機約30%、3号機約25%と公表、いずれも燃料ペレットが溶融していると推定した。

これらに対して原子力安全・保安院は4月18日、炉心損傷に関する概念整理を説明し、いわゆる「メルトダウン」は、「燃料集合体が溶融した場合、燃料集合体の形状が維持できなくなり、溶融物が重力で原子炉の炉心下部へ落ちていく状態」としている。


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