原子力学会 福島事故受け活動 12項目の分析結果まとめ

日本原子力学会は9日、福島第一原子力発電所の事故とその対応について、12項目から分析し、得られた教訓と、短期・中期に図るべき対策例を取りまとめた。

同学会では、福島原子力災害発生後、事故対応調査専門委員会を立ち上げ、技術分析分科会、放射線影響分科会、クリーンアップ分科会を設置し、学術・技術専門家集団としての立場から、事故の原因、現象、影響に関する把握・分析を進めてきた。

提言は、技術分析分科会が、これまでに公開されている情報をもとに、今回の事故とその対応について、(1)地震(2)津波(3)全電源喪失(4)全冷却系喪失(5)アクシデントマネジメント(6)水素爆発(7)使用済み燃料プール(8)安全研究(9)安全規制と安全設計(10)組織・危機管理(11)情報公開(12)緊急時安全管理――の12項目に分析し、1年程度の短期に行うべき対策と、2、3年程度の中期にじっくり改革すべき対策の例として取りまとめている。

津波に対しては、「耐震設計で考慮していた津波の規模が不十分」、「海水の浸水により、安全上重要な機器が停止し事故の拡大を防げなかった」、「地下構造物の浸水防止が不十分であり復旧作業を妨げている」を教訓とした上、津波の想定見直しや建物の水密性強化などを提言している。

全電源喪失については、「非常用冷却システムの稼働が十分ではなく事象の進展が防げなかった」、「原子炉内の状況把握が困難となった」他を指摘した上、ガスタービン発電機の導入、免震床への設置、他発電所との融通など、多様な電源の準備を求めた。

また、原子力学会のクリーンアップ分科会では10日、福島発電所周辺の環境回復や廃炉に関する課題を、俯瞰的かつタイムリーに検討する「福島第一地域クリーンアッププロジェクト」の早期立ち上げを提言している。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで