【原子力ワンポイント】 日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(6)〉チェルノブイリでの放射能汚染食品対策

チェルノブイリでは、放射性セシウムで汚染された食物を洗ったり、皮をむいたり、煮たり、塩水につけたりして、放射性セシウムを除去しています。

ゲンくん 汚染された野菜の出荷停止が解除されてきたけど、チェルノブイリの避難区域30km圏内に住んでいる人たちはどのようにして食べているんだろう。

カワさん チェルノブイリ汚染地域の住民がどのようにして汚染された食材を調理して食べるのかを説明した冊子がウクライナ医科学アカデミーの専門家から出版され、その日本語版「チェルノブイリ―放射能と栄養」が、チェルノブイリ事故に関連した日本とウクライナの共同研究に参加した白石久二雄博士(元放射線医学総合研究所)の手で自費出版されています。そこに書かれていることを紹介すると、野菜や果物類は多量のきれいな温水で洗います。土壌からの病原性微生物などを防ぐために、表面に粘性物質がある野菜や果物はアルカリ溶液(食品ソーダ)で洗います。

ゲンくん 洗う前に何かすることはないんですか。

カワさん カブ、ネギ、ニンニクについては、洗う前に汚染度の高い葉などの表面を取り除きます。ジャガイモやニンジンなどの丸い形の根菜類は、洗った後に皮をむいて、更に繰り返し温流水で洗います。果物も洗った後に皮をむきます。表面にでこぼこがあったり、さけている場合は、その中に放射性物質が挟まっていることが考えられるので、特に念入りに取り除く必要があります。

ゲンくん 洗うことでどれだけきれいになるんだろう。

カワさん 今までの洗い方で表面にある放射性物質の半分以上を取り除くことができると言われています。

ゲンくん 洗ったり皮をむいたりした後はどうするんですか。

カワさん チェルノブイリ事故で特に放射性物質に強く汚染されたと言われた、生・乾燥キノコやイチゴ、肉類、淡水魚を2〜3時間きれいな水に浸します。また、肉や魚はよく煮ることによって、約8割の放射性セシウムを煮汁の方に移すことができます。ストロンチウム90やヨウ素131も濃度を下げることができます。生キノコでの除洗効果を表にしました。

ゲンくん 焼いたり揚げたりすることはどうなんだろう。

カワさん この調理法は勧めることはできないとされています。全ての放射性物質が食材中に残ってしまい、水分の蒸発によって放射性物質の濃度が高くなります。

ゲンくん 煮る以外に放射性物質の濃度を下げる調理法はないんですか。

カワさん 肉については、24時間の間、調理用の食塩水(4%)→0.5%酢酸→3%酢酸の順で取り替えながら浸します。肉を凍結処理したり、食塩水や酢酸の一部を取り替えたり、肉の塊をなるべく小さく(5gまで)すれば放射性セシウムをより早く溶け出させることができます。魚は、うろこ、ひれ、頭、内臓を取り除いた後に、50〜100gの塊に切断し、4〜6%の食塩水に20〜24時間浸します。時々水を取り替えることでセシウム含有量の87〜99%を除去できます。野菜や果物は塩漬けにすれば、放射性セシウムはもとの生材料中の濃度の半分になるそうです。(原産協会・政策推進部


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