米原子力空母 耐攻撃性もち安全 緊急時は自然冷却

在京米国大使館は外務省に対し、3・11東日本大震災の発生を機に、米原子力航空母艦「ジョージ・ワシントン号」が神奈川県・横須賀港に再入港するに当って、米軍の原子力推進艦船の安全性について改めて文書で説明した。

それによると、米原子力軍艦は「50年以上にわたり、一度たりとも原子炉事故や人の健康を害し、または、海洋生物や環境に悪影響を及ぼすような放射能の放出を経験することなく、安全に運行してきた」と説明し、延べ原子炉稼働年数は6300炉・年に達するとしている。

当然ながら、原子力軍艦は戦時の攻撃に耐え、乗組員を危険から防護しながら戦闘を継続できるように設計されており、高度のダメージ・コントロール能力および重層的な安全システムを有しているともしている。

さらに、米海軍の原子炉は緊急時に、電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の比重差による自然対流のみによって、炉心を冷却できる崩壊熱除去能力ももっていることを明らかにしている。

また、原子燃料は、(高濃縮ウランの)固体金属で、重力の50倍以上の戦闘衝撃負荷に耐えることができ、米国基準の商業原子力発電所の設計要求の10倍以上となると説明。

原子炉の大きさは、商業炉に比べて小さく、出力も格段に低く、米国の大規模商業炉の出力の5分の1にも満たない、としている。

ジョージ・ワシントン号は、長さ約333m、排水量9万7000トン、艦載機約85機、動力はPWR2基を搭載、1基で運行および艦内すべてのエネルギーを賄えるが、通常は出力を落として2基運転。スクリュー・シャフトは4軸で、計28万馬力。逆算すると1基約10万4000kW(熱出力)の小型炉2基を搭載していることになる。

入港中は、原子炉も停止させている。原子炉は20数年間、燃料補給せずに運行でき、艦船の現役寿命を50年とすれば、期間途中で1回燃料交換することになる。


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