東電 「安定化センター」設置も 事故収束、賠償など重点

東京電力は20日、福島第一原子力発電所事故の収束、損害補償、今夏の電力安定供給確保に重点的に取り組む考えから、当面の事業運営方針を策定するとともに、その確実な実行に向け、抜本的な経営の効率化・合理化を図ることとした。

当面の事業運営方針としては、まず、既に進行中の「道筋」に基づき、事故の収束に努めるが、その実行体制を強化すべく、6月末にも「福島第一安定化センター」を、福島第二発電所内に設置し、原子力・立地本部長の指揮下、総合計画部、冷却プロジェクト部、水処理プロジェクト部、放出抑制プロジェクト部、技術支援部、保安環境部、施設基盤部、土木建築部の8部を置き、各部役割分担のもと、「道筋」に設定する「ステップ1、2」に掲げられた目標達成を目指し、諸対策を進める。また、今回の事故を踏まえ、緊急時の電源確保や防潮堤の設置等、安全確保対策を早急に実施するとともに、リスク管理についても、検証を行うこととしている。20日付で、「福島第一安定化センター設立準備担当」が設置された。

損害補償については、賠償制度のもと、国の支援も得ながら、同社が4月末に開設した「福島原子力補償相談室」などを窓口に、仮払補償金の支払いなど、公正かつ迅速な対応を図る。

また、電力供給については、火力発電所等の震災復旧、他電力からの購入などを通じ、7月末で5520万kW、8月末で5620万kWの供給力を確保できる見通しとなった。今夏の想定最大電力は、5500万kWの見込み。

これら施策を着実に実行するため、東京電力では、グループの事業について、電気事業に必要不可欠な資産構成・組織体制に絞ることを基本に、厚生施設などの売却を行うほか、経費削減、組織・グループ体制・人員のスリム化を図っていく。

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東京電力は20日、10年度決算を発表した。連結決算で、売上高は5兆3685億円(前年度比7.0%増)、経常利益は3176億円となる一方、東北地方太平洋沖地震に伴う被災資産復旧費用を特別損失に計上したことなどによりに、当期純損益は、1兆2473億円の損失となり、金融機関を除き事業会社として最大の赤字を計上した。


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