独・安全委、既存炉の審査報告 「直ちに停止の必要なし」

ドイツのN.レトゲン環境相は17日に原子力安全委員会(RSK)が国内原子炉17基で実施した安全審査の報告書を受領した。

洪水や緊急時の冷却性能、およびテロ攻撃などに対しては「どの原子炉も堅固であり、ただちに運転を停止する必要はない」との結果が示される一方、メルケル首相の指示により停止中の古い7基については航空機衝突に対する防護策がまったく講じられていないことが明らかになっている。

国内原子炉の安全審査は福島事故直後の3月15日にメルケル首相が指示していたもの。同首相は同時に、昨年10月に議会が可決した原子炉の運転期間延長法の執行、および1980年代以前に建設された7基の操業を3か月間停止した。この期限が切れる6月15日より前に、同政権はRKSによる技術的な側面からの検証結果を元に、4月に設置した「エネルギー供給のための倫理委員会」で原子力のリスクと社会のバランスを調整したエネルギー政策の在り方を模索する考えだ。

報告書によると、1980年代以降に作られた新しい10基も中型程度までの旅客機衝突には耐えられるものの、大型航空機による事故には耐久性がない。また、古い7基のうち、ビブリスAとB、ブルンスビュッテル、フィリップスブルク1号機は外壁が薄いため、小型機の衝突に対しても十分な強度がないと指摘された。

レトゲン大臣はこうした結果を受けて、「原子炉の操業を今しばらく継続しても無責任とは言えないが、出来るだけ早急に合理的な方法で原子力から脱却し、再生可能エネルギーに代替したい」との方向性を示している。


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