原産協会 服部理事長が会見 今こそ人材育成大切

原産協会の服部拓也理事長は5月23日、都内で開いた記者懇談会で、多くの記者からの質問に答えた。

今回の福島第一原子力発電所事故での、国内外への影響について理事長は、「1日も早く既定路線に戻りたいという人もいるかも知れないが、これだけあからさまな形で事故が起こってしまったことで、とても今そんなことを言える状況ではないと私は思う」とした。

海外への影響では、「米国では、2000年前半に原子力ルネッサンスと言われてきたほど、進み具合はよくない。シェール・ガスの発見、AP1000など許認可の遅れなどもあって、経済性の問題が大きい。仏は海外展開を積極的に行っていく方針で、今回の事故影響がでないように努力しているが、EUの中ではストレス・テスト(安全性の再確認)が行われる見通しだ」とし、「原子力は一国で推進できるものではなく、国際的なものだ」と述べた。

また、今回の事故発生で人材確保・育成が難しくなるのではないかとの指摘に対しては、「国民の理解を得て、原子力は今後も一定の役割を果すものと理解している。事故の後処理をきちっとやることも必要で、人材が欠かせない。こういう時だからこそ、人材を育てていくことが必要で、それこそが原子力先進国として重要な活動だと思っている」と強調した。

安全規制について、国際的な統一規制が求められているのではないかとのに質問に対して同理事長は、「国際原子力機関では現在、原子力安全については規制ではなく、安全標準、ガイドラインであり、安全確保の考え方を示しているだけだ。そこから先(拘束力のある安全規制)は、過酷事故などテロとも関係してきて、なかなか容易ではない」と語った。


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