福島事故後、初の進展 日立GEと米WHが応札 リトアニア・旧イグナリナ原発隣接地に計画

リトアニアのエネルギー省は1日、ビサギナス原子力発電所建設計画で日立GEニュークリア・エナジー社と東芝傘下の米国ウェスチングハウス(WH)社が同発電所の建設および戦略的投資家となるための提案書を提出したことを明らかにした。昨年末に一旦、振り出しに戻った同入札も、これら2社による新たな展開が望める見通し。事業規模は数千億円規模と見られており、同エネルギー省ではこの夏にも投資家を最終決定する方針だ。福島第一原子力発電所事故後、新たな原子力プラント建設計画の進展が明らかとなったのは初めてであり、事故後も日本の優れた原子力技術に期待する国は多いと言われている。

同国では欧州連合(EU)への加盟条件として、唯一稼働していたイグナリナ原子力発電所の2基(旧ソ連製RBMK、各150万kW)を2004年と09年末に閉鎖。隣接の2区域を候補サイトに、ビサギナス原子力発電所を建設する計画を進めている。昨年末、入札の第2段階で候補に残っていた韓国電力が提案を撤回して以降、新たな提案者を求めて複数の投資家と交渉していた。

入札委員会のA.セクモカス・エネルギー相によると、今後は同計画の実施主体であるビサギナス原子力発電会社(VAE)および地域パートナーであるエストニア、ラトビア、およびポーランドを交えて、2社の提案書を審査・評価。欧州委員会(EC)との協議も実施した上で、どちらかと特権協定を締結することになる。

同計画ではすでに、環境影響評価や地質構造などサイト適性評価を含めた準備作業が完了し、国際原子力機関からも肯定的な評価が得られたとしている。2018〜20年の運転開始を目指す。

WH社は同日、リトアニア政府に提案書を提出したことを追認。原子力発電経験の豊富なリトアニアを成熟した市場と認めるとともに、同プロジェクトはバルト海全域において戦略的に重要な意味を持つと指摘した。

原子炉設計には同社の主力機種であるAP1000を提案したと明言。本格的な受動的安全システムを有する第3世代+の設計であり、すべての外部電源が喪失した場合でも安全性が確保される点を強調している。

一方、日立GE社側では、すでに米国の規制委が認証済みのABWRを提案したとしている。

ビサギナス原子力発電所建設予定サイト リトアニアの東端、首都ビリニュスの北東に位置し、ベラルーシ国境近くのビサギナス湖畔。


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