【原子力ワンポイント】日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編G〉 測定器は正しい使い方で平均値を出す

放射線は専用の測定器を使って、大人〜学童の場合は地上高1メートルで、また幼稚園児なら地上50cm高で測ります。地面を測ると10倍以上になることもあり注意が必要です。

ゲンくん 放射線は専用の測定器を使って、放射線の強さを測るそうなんだけど、どんな測定器があるの。

カワさん 測定器には目的別に2タイプがあります。1つは土などの表面の線量率や空間に漂っている埃などによる空間線量率の計測を目的とするものと、もう1つは空間や対象物に放射能があるかの汚染チェックのためのもので、ベータ線が入射出来るような雲母の膜の窓のあるサーベイメータなどが該当します。

ゲンくん 線量率を測る測定器には何があるの。

カワさん 汚染を検出するには、広い底面積の円錐/四角錘などのセンサーの付いたガイガーミュラー(GM)管式サーベイメータやシンチレーション式サーベイメータがあります。また、空間の線量率を測るには、棒状のセンサーの付いたGM管式サーベイメータ/シンチレーション式サーベイメータや円筒形のセンサーを持つ電離箱式サーベイメータがあります。最近は、α線とγ線が測定できるシリコン半導体の線量計なども出てきました。

ゲンくん どうやって測るの。

カワさん 国が公表している放射線量は空間の線量率なので、空間線量率の測り方を説明します。空間の線量測定を行う機器では、体幹部の中心部の位置として、一般人の大人〜学童を対象とする場合は地上高1メートルで、幼稚園児を対象とする場合は地上50cm高で測るなど、身長差を考慮に入れて測定する必要があります。また、測定は1回だけでなく、何回か測定して平均を出してください。一般に、地上50cm高での線量率は1メートル高の線量率より地面からの放射線の影響をより受けますが、10%高くらいにしかなりません。しかし、この測定器を土の表面に置いて測ると、地面からの放射線の影響をたくさん受けるので、文部科学省が新聞などに公表している線量率の10倍以上になることもあり、注意が必要になります。例えば、地上高1メートルとの説明は普通省かれていますが、東京都で空間線量率0.05〜0.07μSv/h(1時間当たりのマイクロシーベルト)の場所では、地面にその測定器を置いて測ると「0.1μSv」くらいに表示されます。

ゲンくん それで、「ここは新聞の発表値よりも20倍も高い危険な場所だ!」という話も出てきたんだね。

カワさん 一般人が測定器を使うと、地面での測定をして、自分も周りもパニックになってしまうこともあるので、特に気をつけてもらいたいと思います。また、測定器によって必要な測定時間も決められているので、あわせてよく確認をしてください。

ゲンくん ところで、cpm(1分間あたりの計数)で表示されている測定器の場合はどのようにシーベルトに直すの。

カワさん 正確に変換しようとすると、放射性物質ごとに放出する放射線のエネルギーの分布が異なるので換算率が変わるので難しいのですが、100cpmで1μSvとみなして大雑把な評価をしてください。ちなみに今回放出量が多いとされているセシウム137の場合は、120cpmで1μSvとなります。(原産協会・政策推進部


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