米規制委 加州原発で認可延長審査が進展

米原子力規制委員会(NRC)は2日、ディアブロ・キャニオン原子力発電所1、2号機の運転認可20年延長に関する審査の中で、安全評価報告書(SER)を発行した。安全確保と環境影響の2系統から成る同審査の片方が終了したことになり、最終的な判断が下るまでに環境影響審査を残すまでとなった。

カリフォルニア州で両機を操業するパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社は、2009年11月に運転認可の延長をNRCに申請。しかし、同発電所の立地区域は地震活動が活発であるため、3月の福島事故後、周辺住民や州政府などから耐震性に対する不安が高まっていた。

このためPG&E社では、海岸線の断層帯について最新の3Dモデリングによる耐震調査を開始。4月にはNRCに対し、同調査が完了し、州政府が海岸線の連続性を認証するまでは延長認可の発給を遅らせるよう正式に要請していた。

これを受けてNRCは5月末、SER以降の審査日程はPG&E社の要請どおり延期を決定。耐震調査の結果は必要に応じて、認可の発給前にSERの補足として追加するようPG&E社に通達している。

米国では新規原発に対して、NRCが原子力法に基づき40年までの運転認可を発給。その認可が切れた後は20年間の期間延長が可能だが、40年間という数字は経済性その他を考慮して決められたもので、技術的な制限期間でない。

歴史的な経緯としては、NRCが1982年に策定した経年劣化に関する研究プログラムの結果から、技術審査グループは「様々な劣化現象は容易に管理可能であり、運転期間延長に技術的な問題はない」と断言。91年に認可更新に関する安全要求項目を策定後、95年には認可更新規則を修正するなどして規制手続きの安定的な施行と効率化を図っていた。

08年になると、NRCは米エネルギー省などとの共催で、長期間の安全操業(LTO)支援に必要な追加研究など技術的な側面を議論するため、「米国の原子炉運転延長・研究開発ワークショップ」を開催。今年の2月には、それまでの成果と進行中のLTO活動、および改めて注意の喚起が必要な課題に焦点を当て、第2回会合をワシントンで開催している。

NRCは2000年3月にカルバートクリフス発電所で運転期間の延長を認可したのを皮切りに、すでに全104基の原子炉のうち66基で運転認可を更新。最近では、4月21日のパロベルデ1〜3号機の事例がある。


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