服部理事長がロシアで所信 まず既存炉の安全強化

日本原子力産業協会の服部拓也理事長は7日、モスクワで開催されたアトムエクスポでのパネル討論に参加し、福島第一発電所の事故などについて質問に答えた(=写真=右から2人目)。

服部理事長は「原子力開発――中止か前進か」のセッションで、事故が原子力発電所の運転事業者に求められる安全と信頼を根底から覆してしまったとし、「海外諸国の関係者にも原子力発電の安全性に多くの懸念を抱かせてしまったことを、産業界として誠に申し訳なく思う」と述べた。

事故原因について問われた同氏は、「事故の原因は複合的で、地震、津波はともに設計値を超えた。津波は事故を深刻化させた非常用電源の喪失の原因となった」と述べたほか、「地震による安全上の機器の破損の可能性は低いと考えられる」と付け加えた。

さらに同氏は、この事故が深刻な状況に至ったのは、「安全設計という技術的な側面に加えて、想定外事象が万一発生した場合に備えた組織機能的な面での危機管理能力が十分でなかったからだ」と述べた。アクシデント・マネジメントについても整備してきたものの、「世界の原子力発電が安全運転の実績を積み重ねる中で、いつしか『厳格な規制基準に合致していれば安全は確保される』という錯覚に陥ってしまった」とした。さらに「万一、事故が起きた場合、この安全システムで果たして万全と言えるのか?」という安全文化の基本である『疑問を持つ態度』を怠ってしまった」と語り、そこに事故原因の根本がある、と指摘した。

今後の原子力発電の在り方について質問された服部氏は、エネルギー基本計画での原子力発電所の位置づけ見直しは避けられないとし、「新規建設については、これまでの計画どおりにいかないのは明白だ」と述べた。

一方で同氏は、化石燃料に頼ったエネルギー供給を続けていくことの是非や、自然・再生エネルギーの可能性への疑問を呈し、エネルギーの安定供給の使命を果すためには、「まず、既存の原子力発電所の安全性の強化を徹底したうえで、運転再開することが何よりも重要だ」と強調、そのために、「立地地域の住民の理解を得、国民にも安全、信頼を約束できるように、事業者はもとより、産業界、国家が一丸となり、安全確保に努めていくこと」が重要であり、「それは長く険しい道のりになるであろうが、やり遂げることが、日本の原子力関係者の責務と思う」と述べた。


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