日立製作所 震災復興支援強化 原子力売上20年度に倍増

日立製作所は16日、中期経営計画の実現に向けた主要8事業の戦略を発表した。同計画の最終年次となる12年度に向け、同社の目指す「社会イノベーション事業による成長と安定的経営基盤の確立」達成のための事業方針・業績目標を示すもの。電力システム事業では、@グローバル化の推進加速Aサービスビジネスの拡大B東日本大震災復興支援への取組――を柱に据え、全体の売上高を、10年度実績の8132億円から、12年度に8700億円、15年度に1兆1000億円を目指す。特に、原子力事業については、福島対策支援とさらなる安全性向上を掲げ、売上高を、10年度の1800億円から、20年度には3600億円までの倍増を展望する。

日立製作所は、これに先立つ9日、中期経営計画の進捗状況を発表し、売上高を10年度の9兆3158億円から、11年度に9兆5000億円、12年度には10兆円の大台に上げる目標を掲げる一方、先の東日本大震災に伴う被災地支援、インフラ復旧、生産再開と節電を課題にあげ、「リスクに強い事業継続基盤の構築」を、また、震災により変化した価値観とニーズを踏まえ、「持続可能な社会インフラづくりへの貢献」を、復興支援・対策の柱に掲げている。

原子力市場を巡っては、国内の新規建設計画停滞、諸外国の原子力計画見直し、自然エネルギーの導入加速の動きなど、不透明な現状だが、世界的に継続する原子力発電需要に向け、安全性向上を図り推進していくとした。福島対策については既に、社長直属の「福島原子力発電所プロジェクト推進本部」の下、協力企業含め2200名以上の支援体制をとっているが、今後、恒久冷却システム、封じ込め設備、燃料取り出し・移送、海水処理、廃液処理などの中長期対策に向け、組織を新設し、対応を強化するとしている。海外事業については原子力新規建設推進国への拡販を重点に、日立・GEによる「one team」体制で、引き続き推進強化を図っていく。

電力流通では、統括部門を設置し、日立グループの総合力を結集し、グローバル市場規模6兆円での受注拡大を目指す。

粒子線がん治療装置では、スポットスキャニング照射など、これまで蓄積してきた技術、実績をベースに、受注拡大を図る。


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