エネ研速報 再稼働真摯に検討を 国際競争力に負の影響

日本エネルギー経済研究所は13日、特別速報として「原子力発電の再稼働の有無に関する2012年度までの電力需給分析」を発表した。東日本大震災後に国内の原子力発電所が相次いで運転停止に入ったことを受け、再稼働の可否によっては電力供給や経済活動に広範な影響が出るとして、2012年度までの短期に焦点を合わせ、原子力発電所の稼働状況、電力需給問題、それに関連する諸課題などを分析した。

原子力発電の再稼動がない場合、特に2012年夏季は日本全体として深刻な電力不足など極めて厳しい状況に陥る。東京電力・東北電力管内での15%節電を織り込んでも、全国総計で見て総発電能力が最大電力を1.7%下回る。

火力発電所の高稼動で電力供給が確保されたとしても、石炭・LNG・石油などの燃料消費増から、対2010年比3.5兆円増の燃料コストが発生する。これを単純に電気料金に上乗せした場合、電力料金は3.7円/kWh上昇し、標準家庭の電気料金は、1か月当たり1049円(18.2%)上昇する。2010年度の産業用電力料金平均値10.22円に対して、36%上昇に相当することとなり、我が国の製造業をはじめとする産業の国際競争力に対しても深刻な負の影響を及ぼすことが懸念される。

CO排出量も大幅に増加し、原子力発電所が再稼動しない場合、2012年のCO排出量は12.6億トンと、1990年比18.7%増となる。

以上を踏まえてエネルギーベストミックスの観点から、安全性の確保を最重点課題とした上で、原子力発電の再稼働問題を真摯に検討することが日本にとって喫緊の課題であるとしている。


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