産構審 成長戦略に向け中間整理 原子力発電、再起動を

経済産業省の産業構造審議会・産業競争力部会(部会長=伊藤元重・東京大学経済学研究科教授)は22日、2回目の会合を開き、中間取りまとめについて審議した。

震災後の日本再生に向けた施策の方向性を示すものとして、24日の新成長戦略実現会議に海江田経産相より報告された。「産業空洞化の防止」と「成長力の創出・強化」を柱に据え、エネルギー政策では、当面の電力需給対策として、国内の全原子力を火力で代替した場合、3兆円の発電コスト増との試算を示した上で、安全が確認された原子力発電所の再稼働を訴えるなどしている。

「かつてない空洞化の危機を乗り越えるために」との副題を掲げた本取りまとめではまず、昨夏の「産業構造ビジョン2010」策定後、(1)足下での成長期待の低下(2)電力需給の逼迫とコスト上昇懸念(3)製造業のサプライチェーンの「脆弱性」の顕在化(4)海外における日本ブランドへの信頼性に対する影響――を新たな課題ととらえ、「産業空洞化の防止」と「成長力の創出・強化」のための施策を迅速かつ大胆に実行すべきとしている。

産業競争力の観点からのエネルギー政策としては、「製造業を中心とした産業界にとっては、電力の安定的で廉価な供給の確保は国内への立地を考える上での至上命題」との認識から、原子力を、化石エネルギー、再生可能エネルギー、省エネルギーと並ぶ重要な柱として取り組んでいくべきとし、原子力発電が起動しない場合の来夏の供給予備率、火力代替のコスト増の試算を示しながら、原子力発電所の安全性について、立地地域および国民に対し丁寧に説明し、再起動に向けた理解を求める必要を強調している。合わせて、震災に伴い、東京電力と東北電力の管内では、電力需給を巡る厳しい状況が当面は続くものとみて、産業界による電力需給両面への対応を求めた。

また、産業空洞化の防止では、サプライチェーンの強靭化、立地競争力にも言及し、それぞれ災害対応力の強化、制度改革の導入などを述べている。


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