原賠紛争審査会 精神的損害で賠償額示す

政府の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久・学習院大学法務研究科教授)は20日、福島の原子力災害に伴う避難生活により生じた精神的損害に係わる賠償額算定についての考え方を取りまとめた。5月末に同審査会が公表した原子力損害範囲の判定に関する第2次指針の追補として示されたもの。基本は、事故から6か月間について、1人月額10万円。

損害の対象者は、政府による避難区域等設定に伴い、余儀なく自宅外に避難した者、屋内退避した者で、年齢等による金額差は設けていない。損額の算定に当たっては、避難先によって、生活環境、利便性、プライバシー確保等の点から、精神的苦痛の程度が異なるとの考えから、避難所、体育館、公民館等への避難住民については、額を上乗せした。また、算定期間を、事故発生から6か月間の「第1期」、「第1期」の終了から6か月間の「第2期」、「第2期」の終了から終期までの「第3期」の3段階に分けた上、「第1期」については、帰宅の見通しのつかない不安感から、最も精神的苦痛の大きい期間として額に差をつけた。

「第1期」については、1人月額10万円、ただし、避難所等で生活した者は同12万円、「第2期」については、同5万円をそれぞれ目安額とすることとした。「第3期」については、今後の事故の収束状況などを踏まえて、改めて検討する。

額の算定に当たっては、負傷を伴うものではないことを勘案し、自賠責保険における慰謝料などを参考にしている。


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