原子力の女性ネットワーク 年次大会で「福島宣言」採択

WiN(Women in Nuclear=原子力産業に従事する女性のネットワーク)の第19回グローバル年次大会が6月6日から10日までブルガリアで開催され、WiN・ジャパン(会長=小川順子・東京都市大学准教授)も出席した。

大会の冒頭には「フクシマ特別セッション」が設けられ、22か国約150名が聴講するなか、WiN・ジャパンは、福島第一原子力発電所事故の概要、技術的対策、放射線の環境影響と避難状況、得られた教訓等について発表を行った。

参加者からの、放射線による死者はいないというのは本当か、福島の住民はいつ戻ることができるのか、チェルノブイリの教訓が活かされていないのではないかなどの質問に回答し、より安全な原子力技術の確立と原子力発電を続けるためのコミュニケーションの再構築が課題であることを強調した。

各国からは「フクシマ」後に直面している新たな課題に対する取り組みについて報告があった。さらに、WiN・グローバルは「フクシマ宣言」を採択した。これは、3・11に起こった地震と津波がもたらした福島の事故を機に、原子力産業に従事する女性たちが、国際標準の安全基準や規制を作りあげるためにあらゆる努力をし、子供たちの将来のために強力な支援と貢献をすることを謳ったもの。またこれと併せて募金が行われ、各国から集まった義捐金(40万円)は、福島第一原子力発電所に全額寄付される。

年次大会に先がけて、3日に国際原子力機関(IAEA)本部で天野事務局長と懇談した。この中で天野事務局長は、事故直後に6月の原子力安全に関する閣僚会合の開催を決断した経緯や、客観性・透明性を高めるための国際専門家チームを福島に派遣したことに触れるとともに、「福島後、原子力安全は変わったと言えなければならない」などと述べ、「フクシマ」の教訓は世界の原子力安全の向上に生かされるべきと強調した。

WiN・ジャパンはグローバル年次大会から得た世界の状況を踏まえて、世界及び日本において、情報を発信し、広報活動等を実施していく。


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