東京電力 福島第一、二の差異分析 津波影響の調査結果まとめ

東京電力は8日、東北地方太平洋沖地震に伴う津波が福島第一・第二原子力発電所に与えた影響の調査結果を原子力安全・保安院に提出した。敷地内外の詳細な津波調査データを収集・整理した上、津波波源モデルの推定と再現計算結果などを踏まえ、浸水による建屋・設備への影響を分析している。

同社は4月、地震後に福島第一に襲来した津波の浸水高を、主要建屋設置エリアでOP(小名浜港基準面)約15m規模との暫定値を出しているが今回、さらに現地調査やデータ拡充・精度向上の上、主要建屋設置エリアの浸水高は、福島第一1〜4号機側でOP約11.5〜15.5m、同5、6号機側でOP約13〜14.5m、福島第二でOP約12〜14.5mなどとの調査結果を示した。

また、今回の地震・津波による広域の浸水高、遡上高、浸水域、検潮記録、地殻変動を最も良く説明できる津波波源モデル推定を、数値シミュレーションしたところ、津波の高さは、福島第一で約13m、第二で約9mとなり、精密な分析の結果、両者の差異は、宮城県沖ならびに福島県沖に想定されるすべり量の大きい領域から発生した津波ピークの重なり度合いの強弱差によるものとみられている。

一方、福島第一の建屋への影響については、OP10mの敷地にある主要建屋の周辺では、ほぼ全域が津波の遡上を受け浸水したと考えられているが、外壁や柱などの構造躯体には有意な損傷はなく、建屋の地上・地下の開口部が浸水経路となり、1〜4号機タービン建屋の東側(海側)を中心に、扉・シャッターの損傷、地下の広い範囲への浸水に至ったものと分析している。耐震安全上重要な設備については、非常用電源盤が6号機を除き1〜5号機すべての盤で浸水、非常用ディーゼル発電設備が6号機B系統を除き本体または関連機器の浸水で使用不可などといった影響が明らかになった。

なお、東京電力からの調査結果と合わせて、同日、大地震の影響を受けた東北電力女川発電所、日本原子力発電東海第二発電所からも津波の影響に係る詳細な調査結果が保安院に報告されている。

保安院では今後、これら報告内容について、評価することとしている。


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