科学技術白書 コミュニケーションの必要を

政府は12日、10年度科学技術白書を閣議決定した。

今次白書では、日本人のノーベル化学賞受賞、「はやぶさ」の帰還など、科学技術を巡り、国民の関心を集める話題があった一方で、年度末に発生した東北地方太平洋沖地震および大津波により、福島の原子力発電所に重大な被害がもたらされたことから、科学技術と社会のあり方を深く考え、新たな行動へとつなげていく必要性が示されたと認識し、「社会とともに創り進める科学技術」と題する特集を組み、科学技術コミュニケーション活動の実例を分析するなどしている。

例えば、今回の原子力災害に関連して、「原発事故に関し科学者・学会等による意見表明を聞いてみたいと思うか」との問いに対し、「是非とも聞いてみたい」または「どちらかというと聞いてみたい」との回答が70.4%あったという意識調査結果(科学技術政策研究所、11年4月)を示した上で、「風評被害は、農作物、水産物、工業製品等の安全性について、科学技術の根拠に基づく正しい安全性についての情報が消費者に伝わっていないことが大きな原因」として、科学技術関係者・コミュニティによるわかりやすい情報発信の必要を訴えている。

さらに、今回の事態を踏まえ、研究・技術者、政策担当者は、各専門分野にとらわれない俯瞰的な視点で議論を深め、適切なリスク評価とリスク管理に基づき、より良い科学技術マネジメントの実現を図っていく必要があるとしている。


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