中部電力 浜岡発電所に18mの防波壁新設 抜本的な津波対策を構築 福島第一事故に対応 空冷式熱交換器の屋上配置も

中部電力は22日、東北地方太平洋沖地震による東京電力・福島第一原子力発電所の事故関連対策として、浜岡原子力発電所における根本的な津波対策を発表した。約1000億円を投じ、来年12月の完工をめざして、東海・東南海・南海地震の三連動想定地震(マグニチュードM8.7)による津波遡上高の想定8メートルはむろん、今回、福島第一を襲ったM9の津波遡上高15メートルをも上回る高さ18メートルの防波壁を、海岸砂丘の陸側に長さ約1.6キロメートル設置するなどの対策を取る。

今回の津波対策のうち「浸水防止対策」として、発電所敷地内浸水防止と建屋内浸水防止対策を行う。

発電所敷地内浸水防止対策としては、敷地の東側と西側に、18メートル〜20メートルの盛り土を行った上で、元々ある海側に面した10メートル〜15メートルの砂丘堤防の内側に18メートルの防波壁を新設する。

この地で想定されている東海・東南海・南海地震の三連動地震(M8.7)の地殻変動領域をさらに拡大し、今回、福島第一原子力発電所を襲ったM9と同じ仮想的津波モデルをつくって試算しても、津波遡上高は10メートルにとどまるとの結果も得た上での措置だ。

また新防波壁の内側に位置することになる海水取水槽近くにある海水取水ポンプエリアへの1.5メートルの防水壁も新設する。

海水冷却機能の維持では具体的に、(1)屋外設置の原子炉機器冷却海水系ポンプが浸水により機能喪失した場合に備え、防水構造の建屋を建設し、その中に新たに緊急時海水取水設備を設置する。(2)引き津波の際に取水トンネルに漂流物が流入することを防止するため、流入防止ネットを設置する。

建屋内への浸水防止では、(1)原子炉建屋の防水構造扉の二重化(2)建屋外壁の吸排気口の形状変更(3)建屋貫通部からの浸水防止(シール性向上)対策(4)地下配管ダクト点検口や入口扉などの閉止(5)建物の構造強化(6)排水ポンプの設置――などの対策を行う。

一方、「緊急時対策の強化」としては、全交流電源・海水冷却機能の喪失を仮定した冷却機能の確保を押し図る。

具体的には、(1)高圧注水系の機器冷却に海水を利用しており、その機能喪失に備えた代替の冷却手段として空冷式の熱交換器を原子炉建屋の屋上に確保(2)緊急時の最終的な注水機能の確保のため、可搬式動力ポンプを確保(3)発電所に隣接する新野川から専用ホースを用いて淡水を取水(4)ベント操作用チッ素ボンベの設置――などを行う。


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