福島県知事が政府に要望 「地方の対策では限界」

佐藤雄平・福島県知事は21日、首相官邸他、中央省庁を訪問し、東日本大震災からの復旧・復興に関する要望を行った。県は、震災発生からこれまでも、幾度と国に対し要望活動を行ってきたが、今回の要望書では冒頭、県内に発生した原子力災害からの克服を、復旧・復興に向けての最大の課題と強調した上、事態の早急な収束、風評被害対策、損害賠償への取組に加え、放射線影響に関する国の前面に立った支援体制構築などを幅広く求めている。

佐藤知事は、行政庁で対応に当たった大臣らに対し、原子力事故に伴う肉牛汚染問題などの農畜産業への影響や、校庭土壌対策等の克服は、「地方ではもう限界」と述べ、今回要望では、「国のエネルギー政策の結果として生じたもの」として、諸対策に要する行政経費の全額国庫負担を求めた。

県内の放射線影響対策体制の整備に関しては、農林水産物や加工食品の検査が十分に行えるよう、測定器を配備した検査機関の設置を求めたほか、放射線モニタリング体制の強化、大気・水・土壌・森林等の浄化促進、放射線に関する教育研究体制の構築に向けた「環境創造・農林水産再生戦略拠点」プロジェクトの推進を提言した。放射線に関する情報発信については、原子力災害の教訓を国際社会と共有し、復興支援の象徴ともなるよう、国際会議の県内開催を提唱している。

県民の健康管理については、長期的な調査研究と最先端医療の提供のため、「放射線医療センター」の新設・運営に関する支援の他、WHOの直轄研究所や放射線医学総合研究所の県内誘致などを求めた。

また、原子力損害賠償金の収入・所得算定上の特例措置に関して、立法措置も含めた取り扱いがなされるよう要望した。

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泉田裕彦・新潟県知事は26日、全国知事会の災害対策特別委員長の立場で、海江田万里経産相らを訪れ、先の全国知事会議で決定した12年度の施策・予算に関する提案・要望、震災復興に向けた提言、原子力行政に関する緊急提言を手渡した。


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