米規制委 ホープクリーク炉で認可延長

米原子力規制委員会(NRC)は20日、ニュージャージー州で稼働するホープクリーク原子力発電所(117万kW)の運転認可を20年延長し、2046年4月までとする裁定を下した。

同炉は格納容器に福島第一原子力発電所と同じマークI型を採用するGE社製BWRだが、NRCは事故直後の3月21日にも同型の格納容器を装備するバーモント・ヤンキー発電所(BWR、65.2万kW)に20年の運転認可延長を許可している。NRCではすでに1989年9月、同容器を米国内で使用する電気事業者に強化ベントの追加設置を含む事故対策の改善を勧告。各事業者が個々の設計を考慮した強化ベントを設置済みとの判断の下、同容器を使用する稼働中原子炉23基中21基に、運開以降60年間の操業を認可したことになる。

ホープクリーク炉の認可延長申請について、NRCでは運転期間延長に伴う安全性と環境影響を2年にわたり審査した。しかし、福島事故の教訓により、NRCの原子力規制そのものに包括的な審査が求められていることから、延長認可発給後でも安全性改善に必要な変更と判断すれば、同審査からの勧告を適用していく考え。従って、ホープクリーク炉もその他のすべての国内炉と同様、ポスト福島事故の審査結果に従ってNRCが変更する規則や政策の影響を受けることになる。

なお、バーモント・ヤンキー発電所の運転期間延長に関しては、運開後40年目の2012年3月時点で閉鎖するよう求めている地元バーモント州政府と、同炉を所有・運転するエンタジー社が現在、係争中である。

同炉では過去に配管からトリチウムが漏れるなど、州民の心象が悪化。エンタジー社は同炉を購入した際、「2012年以降の操業に関しては州の承認を求める」との覚書を関係各者間で締結したが、06年に成立した州法により、同覚書の条項は無効になったと認識している。州議会が昨年2月に「認可延長は認めない」との票決を下して以降は同炉の売却も検討しているが、今年3月にNRCが認可延長を許可したのを受け、同社は翌4月、州政府を相手取って運転延長を求める訴訟を起こしたもの。

NRCは同炉の安全運転に関する年次の評価で、今年はトリチウム漏れに伴う地下水の汚染対策を追加で検査するほか、使用済み燃料の乾式貯蔵キャスクや緊急時対応策、放射線防護分野を中心に検査するとの方針を6月に公表している。


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