IAEA事務局長 「多くの国は原子力使っていく」

天野之弥・IAEA事務局長は、7月末の来日に伴い、菅直人首相や畑村洋太郎・事故調査・検証委員会委員長との会談を行い、事態の収束状況を評価するとともに、IAEAと日本との緊密な連携を確認した。

7月26日に天野氏の表敬を受けた菅首相は、福島第一事故収束の「道筋」のうち、同19日に目標達成が発表されたステップ1について、「1つの壁を越えることができた」とした上で、引き続きステップ2も可能な限り早期に完了させたいと述べた。これに対し、天野氏は、前日の福島第一発電所の視察状況も踏まえ、事故収束への努力を評価し、日本政府による6月末のIAEA閣僚会議に対する事故状況の報告を通じて「日本に対する信頼性が高まった」と述べた。また、来年の国際会議共催など、世界の原子力安全実現に向け、引き続き日本とIAEAとが緊密に連携していくことも確認した。

28日には、海江田万里経済産業相を訪問、天野氏は会談終了後、溶融炉心や使用済み燃料の処理で、IAEAによる協力の可能性を述べた。また、菅首相の「脱原発」発言に関しては、「多くの国は原子力発電を使っていく。だから安全性を高めていかねばならない」とした上で、各国が実施するストレステストに対し、IAEAとして国際的レビューを行い、信頼性をより高めていく必要を強調した。

天野氏は29日、東京電力本社を訪問し、勝俣恒久会長、西澤俊夫社長らとも会談を行った。


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