避難世帯の生の声聴取 広野町仮設住宅 原産協会が訪問

原産協会は原子力被災地の避難者支援の一環として、原産独自に作成した「ふるさとカレンダー」の配布を行っているが、7月末に今回初めて同職員がチームを組んで、いわき市に設置された広野町の仮設住宅在住世帯に同カレンダーを直接、個別配布し、被災者の生の声を聞いた。いわき市内の民間企業の施設に避難している広野町役場・湯本支所の担当者と打合せを重ねながら、プライバシーなどに配慮しながら慎重に行った。

現在、緊急時避難準備区域に指定されている広野町は、福島第二原子力発電所の一部が立地する楢葉町の南側に位置する。仮設住宅(=写真)は同町のさらに南方のいわき市JRいわき駅から車で約30分の「いわきニュータウン」の一角に約230戸設けられている。

福島県浜通りの風景やイベントの写真が載っているカレンダーは、多くの入居者に喜んで受け取ってもらうことができ、不在世帯には趣旨書きと一緒にカレンダーをポストに入れた。

入居者の意見としては、(1)避難指示情報はなかった、またはよく聞き取れなかった(2)補償はきちんとしてもらいたい(3)避難場所が複数回変わり疲れた(4)コミュニティの崩壊で、寂しい(5)放射線影響、特に子供への影響が心配――などの声が多かった。

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大震災以前、広野町では町役場と住民が協働で運営する広野総合型地域スポーツクラブ「広野みかんクラブ」を通じて、子どもから高齢者全てを対象として、それぞれの興味や目的に応じたスポーツや各種教室、イベント等を行っていた。

いわき市に6月末に設けられた仮設住宅約230戸では、敷地内に集会場を設置し、仮設住宅全体の管理とともに、仮設住宅の住民が参加できるイベントの運営を「広野みかんクラブ」に委託している。

仮設住宅への入居が開始して初めて、7月26日に定例の教室がスタートできた。

この日は、集会場で午前中に「健康教室」、午後に「ミニサッカー」が開かれた。

「広野みかんクラブ」のインストラクター大草拓也氏は、「これまでは広野町の公民館に拠点があり、スポーツを通じての地域交流の活動をしていた。被災以来、活動ができなくなり、ようやくこの仮設住宅でのイベントを開催することで、活動再開ができるようになった」と述べていた。

「広野みかんクラブ」は大熊町、富岡町とも連携しており、同氏は「被災後は連絡が途絶えているが、今後も何らかの形で合同の活動もしていきたい」と抱負を語り、仮設住宅での暮らしに彩りを添える活動に意欲を燃やしていた。

住民が集まる集会場にも「ふるさとカレンダー」を寄贈した。


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