インド 国内炉の安全評価・中間報告 既設の設備で対処可能

インド原子力発電公社(NPCIL)は福島事故後、津波やそれに伴う電源喪失等に対する国内原発の安全性について包括的な検証作業を進めていたが、7月21日に「既存発電所では所内停電に対処し、炉心を継続的に冷却する適切な設備が備わっている」と結論づける報告書を公表した。

今後、同事故の詳細な事象の時系列等が明らかになった段階で改めて内容改訂の必要があるとする一方、受動的電源駆動機器の持続時間の拡大やタラプール発電所の格納容器内を窒素で不活性化することなど、現段階で重要と考えられる暫定措置を勧告している。

NPCILでは当初、審査タスク・チームを国内原発の炉型で(1)BWR(2)PHWR(3)格納容器の一部が二重構造のPWR(4)格納容器全体が二重構造のPWR――に4分割。洪水と火災の対処に必要なすべての重要設備に関する審査結果の一部を4月に公表した後、今回これに、建設中の(5)ロシア型軽水炉(6)70万kW級PHWR、に関する2チームの審査結果を追加した。

その結果、同チームは「BWRを含む国内原発は福島原発と異なり、完全な電源喪失に対処し得る設備を備えていると」明言。1993年に長時間の電源喪失を経験したナローラ発電所、94年に洪水被害にあったカクラパー発電所、04年に津波に見舞われたマドラス発電所のすべてが、既存の設備で無事に切り抜けた事実に言及した。

また、TMIおよびチェルノブイリの両事故を踏まえた安全評価においても、独立の立場の詳細な安全審査が実施され、主要な教訓が反映されていると強調している。

しかし、今後安全レベルを一層向上させるとともに多重防護を改善していくため、報告書は2か月〜14か月の短・長期的に行われるべき主要勧告の実施ロードマップなど、以下の点を提示した。

すなわち、(1)地震動の感知による原子炉の自動停止(2)タラプール1、2号機の格納容器内を不活性化する(3)重要パラメータを長時間計測するため、電源駆動式モニタリング装置の持続時間を拡大する(4)外部電源により冷却水貯蔵量や緊急炉心冷却系などを追加するほか、可動式ディーゼル・ポンプ装置を配備する(5)近隣水源からの水輸送も含め、貯水量を増強する(6)タラプール、マドラス両発電所で海岸防護対策を追加する(7)使用済み燃料貯蔵プールにおいて追加の冷却水補充対策を取る――などとなっている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで