統合対策室 福島第一対策 人材も課題に

政府・東京電力統合対策室は17日、福島第一原子力発電所事故の収束に向けた「道筋」の進捗状況を発表した。4月の「道筋」取りまとめ以降、1か月ごとに公表されている。

「道筋」は、当面の取組として、ステップ1、2の2段階を置いているが、「放射線量が着実に減少傾向となっている」目標を達成し、ステップ1終了となった前回7月19日の進捗状況から、今回、ステップ2の目標達成時期は、3〜6か月後で変更はない。

最近1か月間では、燃料プールに関して、1、4号機の循環冷却システムが開始され、全4基の「より安定的な冷却」を達成したほか、高レベル汚染滞留水の処理も、6月の運転開始以降、平均稼働率88%、累計処理量が約4万9200トンに達するなど、プラントの安定化が着実に進んできた。さらに、滞留水処理では、第2セシウム吸着処理装置「サリー」に加え、蒸発濃縮装置の2系列増設など、塩分処理施設増強を図り、汚染水の減少を目指すほか、今後は、処理に伴い発生する廃スラッジ等の保管管理も進めていく。

海洋への汚染拡大防止については、1〜4号機の既設護岸の前面に遮水性を有する鋼管矢板設置の設計を進めることとしており、大気・土壌への放射性物質の飛散抑制も、小名浜で仮組された1号機原子炉建屋カバーの設置工事が10日に始まるなど、進展があった。

7月下旬から8月上旬にかけての1〜3号機からの放射性物質放出量は、事故直後の約1000万分の1となる毎時約2億ベクレルと推定しており、今後もモニタリングを継続し、放出量の低減傾向を評価していく。

また、今回の進捗状況では、新たに要員育成・配置を課題に掲げ、今後、不足が見込まれる放射線関係の要員の育成を図ることとしている。東京電力による「放射線測定要員養成教育研修」では既に、約1900人が修了しているほか、資源エネルギー庁でも日本原子力研究開発機構の協力を得て、年内250人を目標に研修事業を進めている。


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