米テネシー峡谷開発公社 ベルフォンテ1の建設再開へ

米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)は18日、1980年代に建設作業を中止していたベルフォンテ原子力発電所1号機を完成させる判断を下した。3月の福島事故発生を受け、今春の最終決定は先送りしたものの、同社の理事会は一層クリーンなエネルギー社会を実現するための「統合資源計画(IRA)」を行動に移すには「クリーンで信頼性が高く、低コストな原子力が最良のオプション」と断言。2008年に建設再開したワッツバー2号機に続き、126万kWのPWRを2020年に完成させるため、49億ドルを投入する考えだ。

TVAは70年代にアラバマ州北部の同発電所サイトで120万kW級PWRとなる1、2号機の建設を開始したが、電力需要の低迷などから88年に両炉の作業を停止。当時の1号機の進捗率は90%だったが、後に機器の一部を売却したため、現在の評価は55%。その後、両炉の敷地活用のため3つのオプションについて検討を開始し、「2基のうち1基を完成させる提案」について昨年5月に最終環境影響声明書(FSEIS)補足案を公開諮問に付した。

8月には1号機を利用可能と判断した場合に備え、製造に時間のかかる機器の調達や許認可手続き、追加設計エンジニアリング経費として2億4800万ドルを理事会が承認。10月にはバブコック&ウィルコックス(B&W)カナダ社に対して、1号機用蒸気発生器2台の設計製造、仏アレバ社に原子炉系統設備と計装制御系の設計エンジニアリングを発注していた。

3月の福島事故発生に鑑み、TVAではベルフォンテ1号機完成計画への教訓として次の点に留意した。すなわち、同事故の事実関係を広範囲に把握・理解するとともに、地震と津波など複数の災害が重なった事態の評価に意識を集中。そうした状況下においてもサイト内の機器を安全に保管し、的確に対処可能となるよう統合的な安全性の改善を計るとしている。

なお、同発電所完成計画では74年に着工した当時のオリジナルの建設許可が適用されるため、建設・運転一括認可(COL)の取得は不要。原子力規制委員会(NRC)は09年、TVAの要請により1号機の建設許可を復活させた後、昨年1月に同許可を「建設延期状態」に移行させた。

同様の方式により、TVAはすでにワッツバー2号機(PWR、120万kW)の建設工事を08年に再開。2013年の完成を目指して作業中である。

TVAではこのほか、COLを必要とする新たな許認可システムの実用性と適性評価のため、ニュースタート企業連合の一員として、2007年にベルフォンテ3、4号機となるAP1000・2基についてCOLを申請済みとなっている。


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