野田氏が輸出努力支持 文藝春秋9月号で原発政策

野田佳彦氏(当選5回、千葉4区)を首班とする民主党新政権が2日、親任式を経て正式発足したが、野田氏は文藝春秋9月号に自身の政策について手記を寄せ、今後の原子力政策についても多くを語っている。

同号では『脱「菅」・反旗の閣僚独占手記』として、野田氏のほかに海江田万里・前経産相、馬淵澄夫・元国交相も手記を寄稿。野田氏は『わが政権構想 今こそ「中庸」の政治を』、さらに副題として『奇策を排し「和の力」で日本を再建する』との題で主要政策を展開している。

野田氏は、「国内産業の衰退」に次ぐ第二の危機として「電力・エネルギー問題」を挙げ、いま議論すべきは、政治として、国全体として「原発とどう向き合うか」、「当面の電力不足とどう戦うか」だと指摘。電力は日本社会の「血液」そのものであり、政府には電力を安定的に供給する体制をつくる責任がある、とも述べている。

その上で、「厳しい現実を直視すれば、安全性を徹底的に検証した原発について、当面は再稼働に向けて努力することが最善の策ではないか」と強調。まずは、ストレステスト(耐性検査)の整備といった安心のための規制体系を整え、その中で、新しい基準に合わない原発は廃炉にすべき、と主張している。そして何よりも大切なこととして、原発立地の自治体からの信頼を得るためには、「首相が自ら足を運び、意見を伺い、自らの言葉で語る、真摯な姿勢が電力危機を回避する第一歩」と捉えている。

日本の原発輸出問題についても、否定的な見方も出ている中で、「私は短兵急に原発輸出を止めるべきでない」との強い意志を表明。日本は「今回の震災事故を契機に、原発安全の新たな技術を蓄積し」、「相手国が求める限り、その危険性と安全対策を伝えることは、震災後の日本だからこそできる新しい国際貢献でもある」と述べている。

民主党政権になってからも、首脳クラスがトップセールスを行ってきた経緯を振り返り、「今後も相手国に出向き、首脳間で原発について正確な情報と対策を伝えるべき」と主張している。

野田氏は「エネルギー基本計画を白紙から見直すことは当然」としながらも、大切なのは「国民的な幅広い多角的な議論」だとし、福島事故の検証に立って、廃炉を含めた総合的なコスト、世界的な資源状況、エネルギー安全保障など複眼的な検討が求められる、とした。

野田氏は、「原発の依存度を減らす方向を目指しながらも、少なくとも2030年までは、一定割合は既存の発電所を活用する、原子力技術を蓄積することが現実的な選択であろう」と結んでいる。


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