原子力コスト火力に優位 エネ研試算 事故賠償額上乗せしても

日本エネルギー経済研究所は8月31日、「有価証券報告書を用いた火力・原子力発電のコスト評価」を公表した。一般電気事業者および卸電気事業者12社を対象とし、2006〜2010年度の有価証券報告書に基づいて試算している。

過去5年間で原子力発電のコストは約7円/kWhで安定的に推移している。一方火力発電は1次エネルギー価格の乱降下で9円〜12円/kWhと変動幅が大きかった。

原子力発電コストについては、東京電力の福島第一原子力発電所事故による賠償額を10兆円と仮定し、1965年度から2010年度の46年間の発電コストに上乗せすると、約1.3円/kWhが加わる。火力発電コストとの差が縮まるものの、依然として原子力発電のほうが低コストであった。

ただし、原子力発電には今後、安全対策の強化や損害賠償のコスト増などの要因が考えられるほか、廃炉・バックエンドに伴うコスト負担など、有価証券報告書による手法では正確な評価が不可能な事項も多いとして、総合的に正確なコスト評価の試みを続けるとしている。


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