米規制委、全原子炉に適用 緊急時体制規則を変更

米原子力規制委員会(NRC)は8月30日、原子力発電所およびその他の施設における緊急時体制規則の一部変更を票決した。既存の原子力発電所のみならず、これから認可を受けて建設される原子炉、および試験研究炉においても緊急時の準備体制を万全に強化するのが目的だ。

主な変更点は対応に当たる発電所従業員の義務事項の制限で、緊急事態に際して彼らに過度の負担がかからないよう保証。また、緊急時対応演習とそのプログラムには、敵対的な行為に基づくシナリオが盛り込まれるほか、警報および通知システムへのバックアップ対策という新たな要求事項も組み込まれることになった。

これに加えて新規則は、毎回国勢調査を実施した後や人口統計の変化により、避難に要する推定時間が25%、あるいは30分以上増加した場合、その推定時間を改訂するよう原子力発電所に義務付けるとしている。

NRCのG.ヤツコ委員長(=写真)は、「福島事故の教訓を適用することも考えられるが、今回の改訂規則によってもたらされる数多くの改善の実施を遅らせる理由はない」とコメント。同規則が、過去数年間におよんだNRCスタッフと関係機関らの調整努力の賜である点を強調した。

同改訂規則は今後、連邦公報に掲載され、30日後に発効する。

〈デービス・ベッセで緊急時対応施設を新設〉

なお、この関連で、オハイオ州でデービスベッセ原子力発電所を保有・運転するファースト・エナジー社が同日、同発電所用の緊急オペレーション施設建設に着手した。

敷地面積約1000平方メートルとなる同施設は、発生確率が非常に低い事象が起こった際、発電所と地元州政府および自治体との連絡調整を大幅に改善するためのもの。発電所従業員は最先端機器を使って環境モニタリングを実施するとともに、州政府や自治体の代表者とは緊密な意思疎通を図る。

また、四半期ごとの訓練と2年に1回行う緊急時演習の場としても活用されることになっており、完成は2012年2月の予定だ。


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