電事連 今夏の節電効果には安堵 原子力再稼動しないと今冬逼迫

電気事業連合会が16日に発表したところによると、今夏の電力10社合計の最大電力は、8月10日15時に記録した1億5659万kWで、昨夏の最大記録1億7775万kWより12%も下回った。これについて、八木誠会長は同日の定例会見で、産業界や家庭での節電に対する理解の結果とする一方で、今後、停止中の原子力プラントの運転再開が見込めない場合、今冬の電力供給は一層厳しくなると警鐘を鳴らした。

震災に伴う電力需給ギャップから、国・電力では、特に冷房使用による電力需要がピークとなる夏季に際し、節電を呼びかけてきた。7、8月を通じて、最高気温は記録的猛暑となった前年を下回ったものの、平年よりは上回ったほか、7月の新潟・福島における記録的豪雨に伴う発電所への影響もあり、夏の電力不足がやや心配されていた。しかしながら、需要家による節電対応が功を奏し、使用制限令が出された東北電力と東京電力で約2割、その他の社でも軒並み1割程度、最大電力が昨夏の記録を下回るなど、安堵の結果となった。

一方で、原子力発電に関して、森会長は、この先、停止プラントの再開が見込めず、現在運転中の11基が順次定期検査に入ると、年明けには運転中のプラントが6基・562.4万kWにまで減少、原子力による供給力が、今夏の15基・1323万kWより、760万kWも下回り、電力需給が逼迫するおそれを懸念した。その上で、電力安定供給のベースを担う原子力発電の役割を改めて強調し、電気事業者として、ストレステストを適切に実施していくとの考えを示すとともに、国に対しては、運転再開に向けた迅速な判断と、立地地域への丁寧な説明を求めた。

ちなみに、今年1月の最大電力は、今夏と拮抗する1億5726万kW。このまま定検中の原子炉が復帰しないと、5月にも全基停止となってしまう。


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