原産理事長 日本の技術力を強調 「原子力は国益に」

原産協会の服部拓也理事長は15日に都内で開かれた朝日新聞主催の「朝日地球環境フォーラム2011」に参加し、将来のエネルギーミックスの観点から、原子力を選択肢として維持することはわが国の国益につながると強調した(=写真)。同フォーラムは、「自然と人間 再生する日本――ポスト3.11のメッセージ」をテーマに、大地震と原子力発電所事故が社会や自然環境に及ぼした影響、原子力発電や自然エネルギーの今後などをめぐり、国内外の有識者が幅広く発信する場として開かれた。

フォーラムでは細野豪志環境相・原発担当相がスピーチの中で、原子力発電所事故に伴う放射性物質の除染に「コストを度外視してでも取り組む」決意を強調。放射性廃棄物中間貯蔵の課題についても地元との対話を重ねる中で道筋をつけたいとの考えを示した。

続くパネルディスカッション「どう変える、原子力とエネルギー政策」には、服部原産協会理事長のほか、ベルント・ティシュラー独ボトロップ市長、田中伸男・前国際エネルギー機関(IEA)事務局長、飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長、フランク・フォンヒッペル米プリンストン大教授が参加した。

服部理事長は、高品質のものづくり、プロジェクト・マネジメント能力の高さ、高度の設計管理技術などの特長を誇る日本の原子力技術に諸外国は期待している点を説明。こうした諸外国の期待や要請に応えていくことが、原子力先進国として日本の責務であると強調した。

これからの原子力発電所の安全性については、福島事故の教訓を世界で共有、原子力発電システムを徹底検証し、安全性を世界最高水準まで高めることの必要性や、徹底した情報公開のもと国民の理解と信頼の回復に努める必要を訴えた。安全対策の徹底により原子力発電は、今後のエネルギーミックスで期待される役割を担えるとし、原子力を選択肢として維持することがわが国の国益につながる点を強調した。

さらに輸出に関しても、原子力技術力の維持の観点からも、相手国の期待に応じて、原子力の海外輸出を進めるべきだとした。

同じくパネル討論に加わった田中前IEA事務局長は、福島発電所の安定化がなければ日本の技術力が信頼されないとした上で、原子力を放棄することは外交上も賢明ではないと指摘。「福島事故後の日本の原発は、世界一の安全水準を達成するはず」として、簡単に放棄すべきものではないと述べた。

これらに対し、今後のエネルギー政策をめぐり、服部理事長は、福島事故以降、事業者は信頼を失っているが、きちんとした公開データに基づいた国民的な議論が重要であるとし、マスコミに議論のプラットフォームの場を提供するよう求めた。


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