米国 商業炉でのMo99生産でFS

GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社と米国最大の原子力発電事業者であるエクセロン社は12日、米政府の支援により、商業炉で医療用モリブデン99(Mo99)を生産する実行可能性調査で協力していくと発表した。

両者は昨年1月の協力合意に基づき、エクセロン社のクリントン原子力発電所を使ってCo60を生産中。来年からは同原発で半減期が66時間と非常に短いMo99を生産するため、活性化したモリブデンの挿入と取り外しが週間ベースで可能となるシステムの設計に共同で取り組む。成功すれば、心臓や肝臓、腎臓などの臓器診断を始め、核医学治療の85%に使われるテクネチウム99(Mo99の崩壊生成物)を毎週出荷することができる。

GEH社の計算では、クリントン炉でのMo99生産で、米国における医療用放射性アイソトープ(RI)需要の約50%を賄えるとしている。

同社によると、既存の軽水炉で重要なRIを生産するというこの取り組みはまた、研究炉燃料である高濃縮ウランがテロリストの手に渡ることを防ぐために2004年に米エネルギー省が提唱した「地球的規模脅威削減イニシアチブ(GTRI)」の一環という位置付け。GTRIを所管している国家核安全保障庁(NNSA)は09年9月、高濃縮ウランの利用に頼らず国内でMo99を生産するというGEH社のプロジェクトを加速するため、費用負担協力協定に基づく225万ドルを提供していた。GEH社はエクセロン社およびMo99処理企業とも連携して、米国の核不拡散体制強化に貢献する考えだ。


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