マレーシア、国連ハイレベル会合で明言 原子力導入計画を堅持

マレーシア外務省は22日、ニューヨークの国連本部で開催されていた「原子力安全および核セキュリティに関するハイレベル会合」でアニファ・アマン外相の声明文を公表し、マレーシアが同国初の原子炉を2021年に、2基目を22年に運開させる計画を堅持していることを表明した。原子力の安全確保は福島事故という観点のみならず、世界全体の原子力開発という観点から、同国にとってますます重要な課題になっていると指摘しつつ、2020年以降も国内で適切な電力供給を確保していくため、原子力を経済改革プログラムの重要課題の1つとして推進していく決意を改めて示したもの。

マレーシアでは今年1月、国内天然資源の枯渇問題が現実味を帯びてきたことなどを背景に、原子力発電開発利用計画を19件の投資プロジェクトの1つと位置付けるとともに、2021年の初号機運開を目指して開発担当会社を創設するとナジブ首相が発表。100万kWの原子炉2基の建設で16年にも入札を実施するとの情報に基づき、日本政府も原子炉建設を含めたインフラ整備協力を申し出ていた。

その後の福島原発事故発生により、新規導入国のうち、タイやインドネシアでは計画延期の動きが顕在化。マレーシアでも慎重を期する方向に傾いたが、原発導入の必要性はあくまで堅持する方針だと伝えられていた。

声明文の中でアニファ外相は、「原子力は現在も、そして今後も持続可能かつ安全なエネルギー源であり続ける」とし、国際原子力機関(IAEA)の加盟各国等と協力し合いながらその研究開発と平和利用を支援していく考えを改めて表明。そのためには通常の状況下での放射線リスクや事故に連なるリスクから人々や環境を防護するだけでなく、核物質の悪用等を探知し、防いでいく必要があると言明した。

同相によると、同国政府は現在、原子力発電プロジェクトに関する最終決定に先立ち、詳細な調査を実施中。法的および規制面での枠組整備や世論の評価を含めた包括的な原子力プログラムの策定に焦点を合わせていると説明した。

この調査はまた、独立のコンサルタントがIAEAと協議しながら、福島事故による教訓およびIAEA加盟国が実施しているストレス・テストの結果も十分考慮して行うと外相は言明。同国にとって最重要目的は、最高レベルの原子力安全を常に確保することにあると強調した。


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