大学連合ATOM TVセミナーが本格化 全国8拠点に15大学が参画

原子力教育・研究に携わっている全国15大学が、産業界等の関係協力機関の支援のもとに、それぞれの人材育成資源を持ち寄りかつ連携し、質の高い国際原子力人材を育成するための事業「国際原子力人材育成大学連合ネット(大学連合ATOM)」を開始している(平成22年度〜24年度、文科省補助事業)。このほど、この代表的事業の1つとして実施されている原子力道場(TVセミナー)の第3回目が、八戸工業大学を拠点校(幹事校)として8月31日、9月1日の2日間にわたり開催された(=写真)。

この原子力道場は「横断的原子力基礎教育シリーズセミナー」として位置づけられ、幹事校に集合した講師の配信するTV講義を他の7大学の拠点校のTV講義室で受信し、全国から参加した受講生が8拠点校で講義を受けるTVシステム講義で、これをTVセミナーと称している。また、このシステムは講義を一方的に配信するものではなく、受講者と講師間の質疑応答もオンラインで実施することができる。また、この原子力道場は、原子力分野以外の学生で原子力に関心はあるが原子力教育を受けたことのない優秀な学生(他専攻、他学科、高専)などに、原子力分野の専門教育に参加する機会を与え、優秀な学生が原子力分野を専攻することを支援するものである。

このTVシステムでは、日本各地に所在する8拠点大学が、その立地条件を活用しその地に特徴的な専門分野に精通する講師と講義を準備することができ、15大学から参加する受講生はさほどの移動を必要としない各拠点校でそれらの講義を集中的に受講できるという利点がある。

第3回原子力道場では、幹事校の八戸工業大学が原子力発電所、原子燃料サイクル施設や各種原子力研究拠点が立地する青森県にあるという特徴を生かし、「原子力発電と燃料サイクル」というテーマで、その分野の専門である講師の方々による7講義が行われ、他の7拠点校にTV配信された。大学夏期休暇中という悪条件にかかわらず、約120名の受講生が全8拠点大学で受講し、活発な質疑応答がなされた。

なお、第1回原子力道場は福井大学を幹事校とし、11年2月28日、3月1日に実施され、そのテーマは「新型炉開発セミナー」であり、福井県という立地を生かした新型炉に関する6講義が行われ、受講者数は約150名に達した。

また、第2回原子力道場は東京工業大学を幹事校とし、8月9日、10日に実施され、そのテーマは「原子力の安全性及び原子力平和利用と核不拡散」であり、首都圏に立地する大学として原子力安全、核不拡散や報道関係の専門家などによる7講義が行われ、約150名の受講者が夏場にもかかわらず参加し、真剣な質疑応答がなされた。

これらの講義を通じ、福島第一発電所事故という未曽有の事故発生にもかかわらず、日本のエネルギー事情を理解した上で原子力を「Lessons Learned」(教訓として活かす)の姿勢で学ぼうとする受講者の真摯な姿勢を感じることができた。

今後ともに、原子力産業界等の関係協力機関との緊密な連携のもとに、さらに実のあるTVセミナーすなわち原子力道場を受講者の希望に沿うものにアップグレードしていく方針だ。今後は、以下の原子力道場の開催が計画されている。


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