復旧・復興へ予算増大 2012年度予算概算要求 事故受け安全対策強化

政府の12年度予算概算要求が、9月30日までに各省庁から財務省に提出された。

経済産業省では概算要求に当たり、(1)原子力事故・震災からの立ち直り(2)従来のエネルギー政策の反省・聖域なき見直し(3)急激な円高・空洞化への対応(4)内需活性化・グローバル化・イノベーションによる新たな成長――を4本柱に据えた。

資源・エネルギー関連では、原子力事故の収束・原子力安全の強化に向けて510億円を要求。立地自治体の防災体制強化を図る「原子力発電施設等緊急時安全対策交付金」に前年度より大幅増の95億円が復興対策経費として計上されたほか、「発電用原子炉事故対応関連技術基盤整備委託費」(20億円)、「発電用原子炉等安全対策高度化技術基盤整備委託費」(40億円)、「発電用原子炉等安全対策高度化技術開発費補助金」(32億円)などが新規要求にあがった。原子力の広聴・広報は風評被害対策に、研究開発は安全性向上に特化したものとなっている。エネルギー対策特別会計は8174億円(対前年度比11.1%増)で、他に復旧・復興対策枠として121億円が計上されている。

また、原子力安全・保安院関連では、383.3億円(同21.4%増)を要求。原子力安全規制部門に関わる部分は、12年4月に新設される原子力安全庁での執行を見据え、今後、改革準備室とも調整を図る。

文部科学省では、原子力災害からの復興として166.8億円を要求しているほか、イノベーション推進、基礎研究の振興、人材育成などに資するよう所要の予算を計上した。 原子力災害対応関連では、福島県および全国での環境モニタリング強化として55億円、除染技術・事故収束の研究開発・人材育成強化として44億円の計上などとなっているほか、復旧・復興対策枠として、原発対応関係で計209億円を要求している。また、高速増殖炉サイクル技術は、326億円(同18.9%減、復興・安全確保関係を除く)と、前年度より減額しており、12年度は維持管理などを除き研究開発は凍結する方向だ。一方ITER計画は、建設段階への移行をふまえ、226億円(復旧・復興対策枠除く)とほぼ倍額計上となっている。

環境省では、災害廃棄物の処理、除染、その他の有害物質対策等を含む復旧・復興対策枠の8843億円によって大幅に押し上げられ、計1兆1338億円と、11年度当初予算額の約5.5倍に膨れ上がった。放射性物質により汚染された土壌等の除染および汚染廃棄物の処理に関しては、関係省庁の協力で行うが、中間貯蔵施設の整備や高濃度汚染地域の対策費用を除き、1兆数千億円程度の経費が見込まれていることから、約2500億円を11年度第3次補正予算に、4536億円を12年度当初予算にそれぞれ計上し、約2300億円の13年度負担分を国庫債務負担行為によりあらかじめ確保することとしている。


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