アトーチャ2が完成まで秒読み アルゼンチン

アルゼンチンで3基目の原子炉となるアトーチャ原子力発電所2号機(74.5万kW、加圧重水炉)が、1981年の着工から数十年の歳月を経てようやく完成に近づいた。起動プロセスに入る前の最終チェック段階に入ったもので、566の補助システムそれぞれで確証試験を実施。来年初頭にも送電を開始し、同年後半に営業運転に入る見通しだ。

9月28日の記念式典ではC.フェルナンデス大統領(=写真)が計画投資サービス省のJ.デビド大臣らを伴って同発電所サイトを訪問した。

作業員を前に演説した同大統領は、アルゼンチンが南米で初めて原子力発電を開始したパイオニア国であることから、アトーチャ2号機はその象徴のようなものだと賞賛。資金不足により1994年に一時凍結された同炉の建設作業を、夫であるN.キルチネル前大統領が2006年に再開させた点を強調した。

同年10月から今年8月までの総投資額は102億ドルで、その88%までが人件費。だが、作業の再開により800名以上の技術者が復帰したほか、900名以上の原子力溶接工、200名もの熟練工や運転員を育成できたとしている。

同大統領はまた、アトーチャ2号機が運開すれば、同国の原子力発電シェアは現在の約7%から10%に上昇すると試算。過去8年間にかつてない急激な経済成長を遂げたアルゼンチンにとって、同炉は単なる電力供給に留まらず、人的資源や雇用の創出など、科学技術や産業全体の発展に貢献すると強調した。

同大統領はさらに、原子力開発における今後の目標として、エンバルセ原子力発電所の運転期間延長のほか、同国4基目の原子炉となるアトーチャ3号機の建設構想を列挙。また、INVAP社を中心に同国が独自開発中の2万kW級小型炉「CAREM」についても建設していきたいとの抱負を表明した。


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