日本の放射線・放射能基準――福島第一原発事故〈番外編(13)〉 人間の体内にも放射性物質は存在する

人間自身が放射性物質を持っています。カリウムはからだの機能を維持するのに必要なものですが、放射性物質のカリウム40も4000Bq(ベクレル)体内にあり、尿として60.8Bq/日排出されています。

ゲンくん 人間って誰でも放射性物質を持っているってホントなの。

カワさん 人はホウレン草などの食べ物から自然の放射性物質であるカリウム40を取っているし、炭素14も体の中にあります。体重60kgの人で約7000Bqの放射性物質を持っていると言われていて、そのうちカリウム40は4000Bqです。セシウム137もわずかですが、大気圏内核実験の影響で20〜60Bq持っています。

ゲンくん カリウムとカリウム40は違うものなの。

カワさん 放射性物質のカリウム40は天然のカリウムの中に約0.01%含まれていて、カリウム1gあると放射能強度が30.4Bqあることがわかっています。

ゲンくん 体の中に放射性物質を持っているのなら、カワさんは「生ごみ」でなくて、「人間放射性廃棄物」って言われちゃうね。

カワさん 失礼な。ところで、カリウムはからだの機能を維持するのに必要なもので、血圧を下げるとか、神経伝達・筋肉の収縮などを助けるとか、尿酸やたんぱく質の燃えカスなどの老廃物の腎臓における排泄を促す働きをしています。成人でだいたい2〜2.5g/日の摂取が推奨されています。

ゲンくん いったいカリウムはどのくらい人の体の中にあるの。

カワさん 体重60kgの人で120gと言われてます。毎日摂取されるカリウムは同じ量が尿として排出されると考えることができるので、2g摂取している場合、放射性カリウム40も60.8Bq排出されると考えることができます。成人は約1.5リットル/日の尿を出すと言われているので、尿には40.5Bq/リットルのカリウム40が含まれています。8歳の女の子の尿からセシウム134が1.13Bq/リットル検出されたことが報道されましたが、同時にカリウム40も排出されています。8歳の女の子のカリウム摂取目安は1.4gですから、子供の排尿量を1リットル/日とすると42.6Bq/リットルのカリウム40が排出されることになります。カリウム40とセシウム134では人体への影響度が異なるので、それぞれを尿がたまる膀胱での等価線量に換算して比較してみます。カリウム40の等価線量は6.6μSv(マイクロシーベルト)/日となり、セシウム134の等価線量は0.54μSv/日となるので、セシウム134の影響度はカリウム40の10分の1程度と小さいことがわかります。(原産協会・政策推進部


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