建設サイトを正式決定 フィンランドの原子炉新設計画

フィンランドで新規原子力発電所の建設を計画しているフェンノボイマ社は5日、同国中西部のボスニア湾に面したピュハヨキを最終的に建設サイトとして選定した。

2007年に40か所以上の候補地を対象に選定活動を開始して以来、安全面と技術面における実行可能性や環境課題、建設に要するコストと期間など、4年に及んだ評価作業の結果、最大180万kWの原子力発電設備建設には同地が最適との結論に至ったもの。福島事故後にサイトが決定した世界で初の原子力新設計画となる。

同社は今年7月に仏アレバ社と東芝に入札案内状を送付しており、2012年から13年の間にアレバ社の170万kW級EPRか、125万kWの先進的なBWRであるKERENA、あるいは東芝のABWRの中から採用設計を決定する。総工費は40億〜60億ユーロ。詳細な建設スケジュールはその後に策定する予定で、早ければ来年末にも現地で最初の準備作業が始められるとしている。

フェンノボイマ社によると、サイト候補地は09年12月時点でピュハヨキとシモの2か所に絞られており、どちらも社会経済的な構造、地元民の受容度という点で問題はなかった。しかし、技術的な則面では、ピュハヨキの岩盤がシモよりも堅固で掘削作業が容易なこと、発電所の設計構造や機器類に影響する耐震関係の数値もピュハヨキが勝っていたという。

また、冷却用海水のトンネルもピュハヨキの方が約1キロメートル短くて済むほか、定住者数と夏季別荘の数が少ないことから、建設工事の影響も少なくなるとしている。

同社は現在、地元の自治体および規制当局、機器供給業者などとともに計画策定作業や様々な許認可申請準備を実施中。岩盤や水、環境に関する一層詳細な調査を行いつつ、さらに先の段階での作業準備を進めていく。

フィンランドでは同国で5基目の原子炉となるオルキルオト3号機(EPR、172万kW)を2005年から建設しているが、これに続く原子炉としてフィンランド議会は昨年7月、フェンノボイマ社の計画とテオリスーデン・ボイマ社(TVO)のオルキルオト4号機建設計画に「原則決定(DIP)」を与えた。

現政権は福島事故後の今年4月に発足した中道右派・国民連合党だが、DIPを与えた2件については「早急に建設許可を与える」との方針を示す一方、これ以後、新たなDIPは与えないと明言。天然資源に乏しく、燃料輸入に長く依存してきた経験のある国だけに、今後の電力供給政策の方向性が注目されている。


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