原子力事故コスト約1円/kWh 原子力発電・核燃料サイクル等検討小委が試算 次回検討し政府に報告 再処理コストは直接処分の2倍

原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会が25日に開催され、核燃料サイクルコストと事故が起きた場合の原子力発電コストについて議論した。

使用済み核燃料の処理に伴う費用は、全てを再処理した場合、1kWhあたり1.98円であるのに対し、直接処分する場合は、1.00〜1.02円と試算された。一部を再処理して残りを中間貯蔵する現状のままだと1.39円となる。

事故が起きた際の追加コストについては、これまでの稼働状況と事故を踏まえて日本の原子力発電所事故の確率を500年に1回と仮定した場合、1kWhあたり最大1.2円程度とする試算結果を発表した。しかし今回の試算には広範囲の除染費用などが含まれていないとの指摘もあり、別の試算結果も併記した。

同小委員会座長の鈴木達治郎・原子力委員長代理は今回の結果について、議論の前提や内容を理解した上で参考にしてほしいとし、あくまで現時点での報告だとした。再処理工場の事故影響は勘案していない。

同小委員会は11月8日に再度議論を行った上で、同月中旬開催予定のエネルギー・環境会議コスト等検証委員会で報告する。

翌26日に新大綱策定会議(=写真)が開催され、原子力発電の安全確保および核燃料サイクルコスト、事故リスクコストについて議論された。

これまで出された安全確保についての意見は、地震・津波対策や事故が起こった時の備えをより強化するため、日本の原子力界の土壌や風土を含めた再検証が必要であると総括された。これを踏まえ、基準や指針などシステムの見直しが必要との意見が出された。

続いて前日の核燃料サイクル技術等検討小委員会で議論されたコスト試算について報告された。試算方法については多くの異議が出されたが、あくまでも不確定な要素も含まれた前提条件のもとでの試算であることが強調された。


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