段階的に広範囲を指定 防災範囲 安全委WGが検討

原子力安全委員会の防災指針検討ワーキンググループ(主査=本間俊充・日本原子力研究開発機構安全研究センター副センター長)は20日の会合で、原子力災害発生時に防災対策を重点的に図る地域について、見直しの考え方を概ね取りまとめた。準備する対策の違いにより、3種類の区域が設定され、防災対策の範囲は最大で施設から50kmの区域となる。

安全委員会では、福島の原子力災害を踏まえ、今夏より、同委の定める「原子力施設等の防災対策について」(防災指針)の見直しを検討してきた。現行の指針では、「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)を、原子力発電所で約8〜10kmとしているところ、今般の福島第一原子力事故に伴い、避難区域が全方向半径20km、計画的避難区域が北西方向50kmにまで及んでいることから、特にEPZの見直しに向け、先行して検討を進めてきた。

今回のWGによる取りまとめでは、事故発生の初期段階で、施設からの距離、周辺地形、気象、人口分布等を勘案した区域に応じて、適切な防護対策を事前に準備しておくことが必要との考えから、新たに、「予防的防護措置を準備する区域」(PAZ)と「緊急防護措置を準備する区域」(UPZ)を設けた。PAZでは、事故が発生したら、直ちに避難を開始するなど、主として、プルーム(放射性物質を含んだ空気の一団)の放出前の予防的防護措置を施すこととし、めやす範囲を施設から「概ね5km」とした。UPZでは、予測的な手法ではなく、モニタリング等の計測データに基づき、避難・屋内退避の準備を行うこととし、めやす範囲は「概ね30km」としている。また、IAEAの安全基準文書による指標改定に伴い、プルーム通過時の放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを避けるための屋内退避や、安定ヨウ素剤服用等の対策を準備する区域(PPZ)を定め、範囲を参考値「概ね50km」と設定した。


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