想定外でも十分な安全裕度 関電・大飯3号 初のストレス試験結果

関西電力は10月28日、原子力安全・保安院に、大飯原子力発電所3号機の安全性に係る総合的評価、いわゆる「ストレステスト」の1次評価を提出した。電力会社からの同評価報告は初めてのことで、「設計上の想定を超える事象に対する安全裕度を十分に有している」などとしている。大飯3号機は、3月18日より定期検査に入っているが、7月11日の3閣僚による統一見解に従い、原子力発電所の再稼働には、「ストレステスト」の妥当性確認が必要条件となっている。

発電所の安全性に関する総合的評価は、福島原子力事故の教訓に立ち、設計上の想定を超える事象に対して、コンピューターを駆使し、どの程度の裕度があるかを確認するもので、定期検査中で起動準備の整ったプラントについては、設計基準上の許容値を安全裕度の比較対象とする1次評価が行われる。事象としては、地震・津波が発生した場合、施設全体の安全対策や、燃料の重大な損傷の防止対策により、全体として炉心損傷に至るまでの余裕を評価する。

関西電力が大飯3号機に関して実施した1次評価の結果によると、例えば、地震については、想定を超えて地震レベルを上げ、損傷する機器に起因して燃料損傷に至る可能性のある事象を特定、これらに対し、緩和機能を抽出して個別機器の耐震裕度を算出し、燃料損傷に進展しないよう収束させるシナリオが成立しなくなる「クリフエッジ」のレベルを確認する。これにより、地震に関しては、基準地震動と比較して1.8倍の裕度が確認された。

また、福島事故を踏まえた緊急安全対策の実施前後の比較も行なっており、津波では約4倍の安全裕度で約145%の向上が、全交流電源喪失では、外部からの支援のない条件で約16日間の炉心冷却が可能との評価結果が得られ、約76倍の裕度向上が確認された。その他、最終ヒートシンク(熱放出)についても評価し、事故から得られた知見を踏まえた安全確保対策により、炉心の冷却手段が多重化され、プラントの安全性向上が確認されたとしている。

電力会社からの報告を受け、保安院では、専門家からの意見聴取等を行いながら、評価結果を取りまとめ、原子力安全委員会からの妥当性確認を求めるほか、各国の取組状況を反映すべく、「ストレステスト」に関する国際セミナーも11月に予定している。


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