震災影響など踏まえ見直し エネ白書閣議決定 原子力依存引き下げへ

政府は10月28日、10年度エネルギー白書を閣議決定した。エネルギー需給に関して、今回は、東日本大震災により生じた課題を第一に取り上げ、特に、原子力事故や電力供給の混乱を踏まえた今後のエネルギー政策検討の方向性として、白紙からの計画見直しのもと、「原子力発電については、中長期的に依存度を可能な限り引き下げていく」ことが明記された。

今回白書では、3月の大震災によるエネルギー需給を巡る事象全般を振り返り、「国内観測史上最大規模の地震、大規模な津波を伴い未曾有の大災害」に、福島の原子力事故も加わり、全国規模での電力需給対策の必要性が生じた状況をデータ等で示した。さらに、原子力発電の安全確保・再稼働、東西日本の電力融通、産業への影響など、電力、ガス、石油・LPGの各供給体制で明らかになった課題をあげた。

一方で、中国を始め新興国を中心とするエネルギー需要増などから、「世界はその歩みを止めていない」などと、国際エネルギー市場を巡る近年の潮流、主要国の政策動向を述べた上で、「東日本大震災はエネルギー安定確保の問題等を世界的課題とした」との認識も示している。その上で、白書では、原子力安全に対する国民の信頼失墜、エネルギーシステムの脆弱性を踏まえ、現行のエネルギー基本計画を白紙から見直し、来夏を目処に新しい戦略・計画を打ち出すとの方向性を示した。


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