復興に向けて 福島住民の田村市 放射線への不安解消を

福島県阿武隈高原の中央に位置する田村市は地盤が比較的安定していることもあり、3月11日の大地震の揺れによる重大な被害は受けず、市民生活に大きな支障はなかったという。

だが、福島原発の事故で「降って湧いたような」放射線への対応を迫られることとなった。4月22日には同発電所から20km圏内の市東部は「警戒区域」、30km圏内は「緊急時避難準備区域」に設定された。

とはいえ、市はこれまで原子力発電所事故への備えはしてこなかった。事故直後は、市職員も住民に放射線をどう説明したらよいか分からなかった。

模索が続く中、市民の不安を解消しようと、田村市は環境放射線に関する講習会を企画した。10月6日から5日間、柴田徳思・東京大学名誉教授を講師に迎え、環境放射線講習会を市内各地区で計11回開いた。

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一連の講習会を終え、講習会を主催した市の担当職員に話を聞いた。

―講習会を終了しての印象は。

「地元の方同士で参加できたり質問しやすい雰囲気となるよう、会場や回数を多くした。どの会場でも、講演内容や市民からのさまざまな質問に対する講師の丁寧な受け答えに皆さんの納得した様子が感じられた。所期の目的である現状に対する不安の解消と今後の対応方法について、理解してもらえたと実感した」

―参加者の不安は解消したか。

「専門家に直接質問できたことで、現状への理解が進み、結果的に漠然とした不安の解消につながったのではないか」

―今後に残る課題は。

「原発事故の収束。除染の実施。そして、除染で発生する汚染物質の仮置き場の確保だ」

―国や県などに今後求めることは。

「警戒区域内モニタリングの実施と速やかな除染。そして、警戒区域の早期解除または縮小だ。セシウム以外の核種の詳細なモニタリング実施や安全に対する明確な基準作りとその説明も必要だ」


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