事故後の取り組みで声明 原子力学会の安全国際シンポ

「原子力安全国際シンポジウム」(日本原子力学会主催、日本保全学会共催)が10月31日〜11月1日、東京・秋葉原コンベンションホールで開催され、各界から約300名参集のもと、原子力安全に関する様々な活動を巡り、学会の立場を超え、国際機関や産業界を含め議論した。

シンポジウムでは、結びに、声明を取りまとめ、福島原子力事故に関し、「二度とこのような原子力災害を起こしてはならない」との決意のもと、今回の議論を踏まえ、原子力安全確保に向け、具体的活動に取り組む姿勢を発信した。

冒頭、細野豪志・環境大臣が来賓挨拶に立ち、現在進展中の原子力災害の収束、環境修復、続く事故炉の廃炉など、困難な課題に対し、多くの見識が得られることを期待した。

海外からは、米国、フランス、ロシア、OECD/NEAなどがそれぞれ、福島事故後の各国・機関における取組を報告した。

声明では、福島事故に関し、背景要因を含め、様々な観点から分析する必要があるとの認識に立ち、地震・津波、電源喪失といった事故の直接要因に留まらず、「事故の遠因と学会の役割」との項目を立て、(1)構造強度・ハードに偏重した規制基準の適用と書類重視の点検・検査およびシステムや社会のリスク低減の考慮不足(2)省庁間の連携不足(3)品質問題にこだわり「原子力安全」確保の大局を見失う結果(4)規制と事業者の対峙による共通の安全目標の喪失(5)「絶対安全」神話の形成と過信(6)改定困難の風潮による新技術取り込みの拒絶と改善の停滞(7)責任不在と役割分担の不明確さによる無責任体制(8)専門家不在の規制(9)国際社会との連携不足――の課題を抽出した。


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