安全技術の世界発信を 13の提言 エネルギー政策重要

エネルギー・原子力政策を考える会(代表=鳥井弘之・元日経新聞論説委員)はこのほど、「日本のエネルギー安全保障再構築に向けて──エネルギー政策見直しに係る提言」を取りまとめ発表した。福島第一原子力発電所事故後の日本のエネルギー政策を考えるときの短期的、中期的な視点から、13項目の提言を行っている。

提言では、「エネルギーは国民の生活基盤を支える根幹」と捉え、多くの国がエネルギー政策を最も重要な政策の1つと位置づけている、と指摘。特に、「エネルギーのほとんどを海外に依存する日本は、総合的なエネルギー政策を展開することが求められている」とした上で、民主党も地球温暖化への強い関心から、世界の先陣を切って低炭素社会への取り組みを宣言し、昨年の6月にはエネルギー基本計画を制定して、二酸化炭素を排出しない原子力発電の比率を大幅に上げることを一旦は決定した、と回述している。

そうした中、福島原子力発電所事故が起こり、放射能の影響は全国的な規模で広がり、潜在的であった国民の原子力に対する不安を一挙に顕在化させた、と述べている。

その結果、化石燃料への依存を大幅に増やして当面の電力不足を乗り切らざるを得なくなり、日本社会はエネルギーコストの上昇、二酸化炭素排出量の増大という大きなツケを背負うことになった、と指摘している。

日本だけの視点から考えるなら、日本が脱原発に踏み切っても人類の原子力依存に与える影響は大きくはないと分析、しかしながら、新規導入国などのことを考えるなら、「福島の経験を十二分に生かし原子力の安全性向上に取り組み、その技術を世界に発信することの方が望ましいのではないか」との考えを訴えている。


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