15年から段階的に閉鎖 ベルギーの脱原子力政策

ベルギーで稼働中原子炉、全7基を操業しているエレクトラベル社の10月31日付けの発表によると、同国の連立政権は2003年に成立した脱原子力法に従って国内原子炉の運転期間を40年までとし、15年から段階的に閉鎖していくことを30日付けで合意決定した。

前政権が09年に条件付きで約束した古い原子炉3基の運転期間10年延長を覆す内容だが、同社および親会社のGDFスエズ社は、さし当たり廃止措置の準備チームを設置。その一方、政府が今後打ち出す政策の詳細を注意深く検討し、09年の議定書で約束された権利を留保できるよう努めていく考えだ。

ベルギーでは03年、緑の党政権が2025年までに脱原子力する政策を打ち立てた。しかし、代替エネルギーの手当がつかず、前政権は09年10月、専門家グループによる勧告を受け、2015年に40年の運転期限を迎えるドール1、2号機とチアンジュ1号機の運転期間を10年延長する代わりに、エレクトラベル社が年間2億150万〜2億4500万ユーロの拠出金を2010年〜14年まで納めることで合意していた。

その後、前政権は昨年4月に内閣総辞職に追い込まれ、同6月に総選挙を実施。その結果、北部のオランダ語系の政党と南部の仏語系政党が激しく対立し、運転期間延長法を正式に制定し得ないまま、1年以上も組閣交渉を続けていた。主要8政党の交渉人達は10月半ばにようやく、新たな国家改革案で合意したと伝えられている。

エレクトラベル社によると、今回の決定は古い原子炉3基の閉鎖時期を1〜3年程度延期し、その間に設備容量の不足分を補うための投資の実施を念頭に置いている。同社は、そうした発想は原子力部門特有の安全上の制約や産業界の現状を考慮しておらず、すべてが非現実的だと非難した。

政府決定に従い廃止措置の準備チームを設置した後は、運転期間延長用の投資額約10億ユーロを今後の電力供給保証のために転換可能か否か評価したいとしている。

なお、ベルギーでは現在、総発電電力量の約51%を原子力で供給。不足電源設備を補う財源が必要となるため、現政権は、古い炉の運転期間延長の見返りに前政権が要求した拠出金に替えて、年間10億ユーロの税金徴収を検討中と伝えられており、今後の動きが注目されている。


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